毎月更新!時事コラム

第1837号(2025年3月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「国家的殺人未遂だと思う」(2月18日、丸山達也島根県知事)――定例記者会見で。「高額療養費制度」の患者負担上限額の引き上げを提案した政府について、丸山知事は「治療を余儀なくされているひとに対して、治療を諦めざるを得ない状況を制度的に作るということは国家的殺人。提案されたというだけでも国家的殺人未遂だと思う」と述べた。さらに、「国民を殺そうとしたといい切ってもいいと思う」と痛烈に批判したうえで「国民を死に追いやるような政策決定」をした官僚や政治家の責任を問うべきだと主張。「日本の統治機構の戦後最大の汚点」だと指摘した。高校授業料の無償化についても触れ、「経済的負担の軽減と、お金がなくて、できる治療を断念して寿命を迎えないといけない話と、どっちが優先なのか。答えは明らかだ」と述べた。

◆「数の力で予算案さえ通せばいいという思い」(2月23日、榛葉賀津也国民民主党幹事長)――記者会見で。「年収の壁」の引き上げをめぐる自民・公明両党との協議について、「103万の壁を178万まで上げる。3党幹事長間で約束したにもかかわらず、一向にその方向性は見えてこない。履行されない可能性が高くなってきましたね。高校無償化の維新さんとおそらく合意して、数の力で予算案さえ通せばいいという思いがどうも透けて見える。これではダメです」と述べ、自民党の対応を批判した。

◆「『食料品の消費税ゼロ』の法案を作成」(2月21日、明石市の前市長で弁護士の泉房穂氏)――自身のSNSで。泉氏は「夏までに『食料品の消費税ゼロ』の法案を作成し、参院選での国民の後押しを受け、秋の臨時国会に提出して可決のシナリオを想定している。『予算を伴う議員立法』となるが、衆議院で50人以上、参議院で20人以上の賛同者があれば法案は提出できる。世論の高まり次第だ」と主張。立憲民主党の小沢一郎総合選挙対策本部長代行が記者会見で、党内に食料品の消費税率ゼロ%への引き下げを求める動きがあることを念頭に「やるのなら、食料品だけじゃない。もっと大きくやらないとダメだ。英国は、食料品、交通、水、住宅。そういうのも非課税にしている」と発言していることに触れ、泉氏は「近いうちに相談に伺わせていただこうと思っている」と投稿した。


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相互関税

 アメリカのトランプ大統領は、米国内に輸入される自動車に対して約25%の関税を課す考えを明らかにした。医薬品と半導体についても25%以上の関税をかけるとしている。また、貿易で〝不平等〟な状態となっている相手国に対しては「相互関税」を設定する方針も打ち出している。関税負担が対等となるように、相手国の消費税(付加価値税)まで加算して税率を比較する。欧州では20%を超える付加価値税を課す国が多い一方、米国には州ごとで売上税が設定されているケースはあるものの、連邦レベルでの消費税がない。
 相互は英語で「reciprocal」。これには「互恵的な」という意味も含まれる。これまでは貿易交渉の場でお互いが歩み寄り妥協点を探るというニュアンスで使われてきたが、大統領は相手国に対抗する文脈で使っている。大統領が署名した相互関税の導入を指示する覚書には「不公平な税金」「非関税障壁」「為替レートをめぐる政策」など、関税とは直接関係ないはずの文言が多く含まれている。
 米国製品に高い関税をかける国だけではなく、規制や商習慣などの「非関税障壁」が多い国も相互関税の標的にするとみられる。「障壁」になっていると米国が考える規制のなかには「消費税」も含まれる。

解説 国の基金

燃料油価格激変緩和基金

 原油価格高騰が経済回復の重荷になる事態を防ぎ、国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として造成された基金。燃料油の卸売価格を抑制するための手当てを行うことで小売価格の急騰を防ぎ、消費者の負担低減を図るのが目的。これまで、ガソリン(レギュラー)価格が1リットル当たり200円を大きく超えると予想された時期に、170~180円程度に抑制してきた。所管は経済産業省・資源エネルギー庁。基金設置法人は一般社団法人全国石油協会。
 2021年度のエネルギー対策特別会計から70億円の交付を受けて設立。同年度中、このほかに8回、合計3兆1840億8100万円を追加で交付された。22年度にも4231億600万円を追加で交付されるなど、昨年末までに総額8兆円以上の予算が計上されている。
 ガソリンの全国平均価格が基準を超えた際に、石油元売事業者に対して燃料油の卸価格抑制に必要な原資を支給する「補助金型」の事業のため、原油価格の変動に伴う補助の縮小や停止、再開が繰り返されてきた。昨年12月19日からは1リットル当たりの補助金が5円程度縮小されたため、ガソリンの小売価格は高値が続いている。
 このため、基金事業の終了予定時期・新規申請受付終了時期についても再三見直しが行われている。経産省では「流通の混乱を起こさないように事業を終了させていく」としており、エネ庁のホームページでも「出口に向けて段階的に対応中」としている。

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