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最近の税に関するコトバ集
◆「非課税であるという特別な扱いを受ける以上、それにふさわしい政党や政治団体としての規律のあり方をどのように考え、また、その規律をどのように担保していくか」(1月24日、石破茂内閣総理大臣)――通常国会での施政方針演説で。首相は政党交付金や政治資金について「国費による助成、企業団体や個人からの資金、そして政治家本人からの支出、それらのバランスはどうあるべきか。国費による助成を受け、原則として非課税であるという特別な扱いを受ける以上、それにふさわしい政党や政治団体としての規律のあり方をどのように考え、また、その規律をどのように担保していくか。そのための法制度のあり方も含めて、与野党の枠を超えて議論を深めていきたいと考えます」と述べた。演説を文字に起こすと全文で約1万1千字。そのなかで「税」の文字が使われたのは2回。ここでの「非課税」のほか、令和7年度の「税制改正」について語った2カ所だけで、「年収の壁」に関連した所得税減税にも、ガソリン税の取り扱いにも、防衛増税にも、米国新政権による関税引き上げの動向にも、一切触れることはなかった。
◆「『103万円の壁』の話も、ガソリン税の話もない」(1月24日、古川元久国民民主党代表代行)――国会内で記者に問われて。古川代表代行は、首相の施政方針演説について、「年収の壁」の引き上げに関する言及がなかったと指摘。「ひとことでいえば石破カラー。色も見えなければ、熱もない。前の臨時国会の時にはあった『103万円の壁』の話も、ガソリン税の話もない」と述べ、自民・公明・国民民主の3党幹事長が合意した内容に触れなかった首相の姿勢に強く反発した。
◆「徴税吏員証を紛失した事案が発生しました」(1月23日、山口県光市福祉保健部こども家庭課)――記者発表で。「徴税吏員証」は地方税法などに基づき、自治体職員が納税者を調査する際に携行することが義務付けられているもの。光市では税務部門を中心に54人が所持している。こども家庭課は児童扶養手当の支給額が所得によって変動するため、所得を調べる目的で職員のうち5人が所持していた。紛失したのはこのうちの1枚で、市ではこれを無効としている。

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大統領令
議会で法律を成立させる手続きなしに、米国の大統領が直接、政府機関や軍に出す命令のこと。「行政命令」「大統領覚書」「大統領布告」などの形式がある。議会の承認を得なくても済むため、大統領が速やかに政策を実行したい際に使うことが多い。合衆国憲法は大統領令について詳細に規定していないものの、歴代の大統領は通商や移民政策、環境規制などさまざまな分野で活用してきた。
しかし、大統領令は万能ではない。現行の法律の範囲内で命令するため効力には限界がある。議会は法改正に時間がかかるものの、政策の実行については強力な権限を持つ。このため大統領令に反対する新たな法律をつくって効力を失わせ、対抗することも可能だ。大統領令が憲法に反する内容だと、最高裁判所が違憲判断を示して無効にするケースもある。前の大統領が出した大統領令を、次の大統領が無効にすることもある。
議会で与野党の対立が激しくなって、大統領が望む法律が通らない場合に大統領令の活用が増える傾向がある。署名する大統領令の数に制限はない。野党や地方政府、企業、民間団体などが大統領令の無効を求めて提訴することも多い。

解説 国の基金
特定C型肝炎ウイルス感染者救済基金
2008年1月16日施行の「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」に基づいて指定されている製剤によってC型肝炎に感染したことが、判決または和解、調停などにより確定したものに対して、給付金を支給する目的で造成された基金。所管は厚生労働省。基金設置法人は独立行政法人医薬品医療機器総合機構。
18~22年度の5年間は、毎年度の平均で30件以上、金額にして11億円程度の給付金支給実績がある。22年度の単年度件数は47件で、合計10億8400万円を支給した。21年度以降は、特定フィブリノゲン製剤等の納入実績がある医療機関で「カルテ等調査」を予算事業として推進していることから、提訴の増加が見込まれている。このため給付金の円滑な支給を確保し、特定製剤によるC型肝炎ウイルス感染被害者が健康や生活に大きな不安を抱えることなく安心して過ごすことができるよう努めていく必要があるとしている。
07年度の一般会計予備費から204億6200万円を交付されて設立。10年度の補正予算で95億円、22年度の補正予算でも22億8100万円が追加で交付されている。基金事業の新規申請受付終了時期は28年1月17日。これは、根拠法の施行日から起算して20年が経過した翌日までに裁判所へ提訴したものを対象としているため。ただし、裁判手続きの進行動向に左右されることから、基金事業の終了予定年度は未定となっている。23年度末時点での基金残高は26億7100万円。
