毎月更新!時事コラム

第1820号(2024年9月15日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「日本の政治資金、非課税にしていただいておりますが、それには報告をきちんとするという義務がかかっております」(8月26日、河野太郎デジタル大臣)――記者会見で。自民党総裁選への出馬を表明した河野氏は政治資金を巡る問題について、「非課税にしていただいているものは、領収書をつけてきちんと報告をして、見ていただく。そして、政治資金を寄付してくださった方々、受け取った側、しっかりその報告書、届け出をデジタル化することによって、きちんとマッチングができる、透明性を高くする。そうした政治改革をすることで国民の皆様から信頼を回復してまいりたい」と語っている。

◆「立替払いですよ」(8月26日、馳浩石川県知事)――記者会見で。石川県は能登半島地震で倒壊した建物の早期再建を目指して、公費解体だけでなく自費解体の活用も促している。建物の所有者が自分で解体業者に依頼して自費解体を行う場合、その費用は市町から払い戻しを受けることができるという。馳知事は「自費解体という言葉面で、『何で自分の金で解体するのか』と、こういう印象を持たれがちでありますし、未だに『自分でお金を払って解体しろって言うのか』というご指摘もしょっちゅう受けて、お叱りをいただいているんですが、立替払いということを改めて申し上げます」と説明している。

◆「そもそも『たばこ税』は、国民の健康や命を守り、医療費や社会保障費を減らし、健康寿命の延伸で家族や社会の負担を減らすなどのためにあります」(8月29日、科学ジャーナリストの石田雅彦氏)――SNSで。喫煙所の閉鎖が相次いでいるという『現代ビジネス』の記事に対して、石田氏は「『たばこ税』には一種の罰則としての役割があり、課税することで小売価格を上げ、喫煙者を減らし、未成年者の喫煙を防止するという目的税としての性質を持っています。『たばこ税』で喫煙所を整備するというのは、その役割や目的から離れてしまうこと」と持論を展開した。


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緊急安全確保

 国民の生命・財産に被害が発生する災害が切迫している、または発生した後であっても、あらためて対象地域の住民に対して直ちに自らの命を守る最善の行動をとることを呼びかける情報。災害対策基本法に定められており、市区町村長が発表する。
 水害・土砂災害・高潮災害の発生を呼びかけるために導入されている警戒レベルの中では、最も危険度が高い「レベル5」の情報に位置付けられている。水害のケースでは、河川が氾濫する危険度が増して災害が切迫している状況、あるいは氾濫発生情報が発表された場合に適用。土砂災害のケースでは、土砂災害警戒情報や大雨特別警報が発表された場合などに適用される。高潮災害のケースでは、高潮警報あるいは高潮特別警報が出されたことによる避難指示の後、さらに頑丈で高い建物への垂直避難を呼びかける際に適用される。津波は猶予時間が短いため「レベル4」の「避難指示」を基本とし、「緊急安全確保」は原則として適用されないが、過去には出された例もある。
 避難情報は、警戒レベルの危険度が高い順に「緊急安全確保(レベル5)」「避難指示(レベル4)」「高齢者等避難(レベル3)」「大雨・洪水注意報(レベル2)」「早期注意情報(レベル1)」となっている。また、河川の水位や降水量の情報は、警戒レベル相当の危険度が高い順に「氾濫発生情報・大雨特別警報(レベル5)」「氾濫危険情報・土砂災害警戒情報(レベル4)」「氾濫警戒情報/洪水警報・大雨警報(レべル3)」「氾濫注意情報(レベル2)」となっており、レベル1の情報発表は想定されていない。

解説 国の基金

中小企業災害復旧基金

 東日本大震災により甚大な被害を受けた中小事業者の借入金負担を軽減するため2011年に設立。所管は経済産業省。基金設置法人は独立行政法人中小企業基盤整備機構。初年度に100億円の交付を受けている。19年度に約80億円、21年度に約4億8000万円を国庫に返納した。22年度末時点で基金残高は1600万円。
 東日本大震災により事業所などが全壊または流出した事業者や、原発事故の警戒区域内に事業所を有する事業者が「東日本大震災復興特別貸付」によって資金を借り入れる際に、3年分の利子負担相当額の補填を行う。11年度から22年度までに累計約2.5万件、約15億円の利子補給を実施している。基金の成果実績について経産省は「利子負担相当額の補填を適切に実施し、被災事業者の利子負担を軽減することで、被災事業者の事業の再興を後押ししている」と説明する。
 被災中小事業者の資金繰り状況や事業再生状況を踏まえて、20年度末で利子補給の新規受け付けを終了した。利子補給の実施状況から、基金終了時期は24年度を見込んでいる。

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