毎月更新!時事コラム

第1817号(2024年8月15日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「本来の趣旨に沿って適正に運用されるように、これからも取り組んでいきたい」(8月2日、松本剛明総務大臣)――記者会見で。令和5年度のふるさと納税受け入れ額が1兆円を超えたことを受けて、松本大臣は「本来の趣旨に沿って適正に運用されるように、これからも取り組んでいきたい」と語った。ポイントを付与するポータルサイトの利用については「ふるさと納税の仕組みはふるさと、または、関係、関心のある地方団体に対する感謝、応援の気持ちを伝えることを目的として、地域を選んでいただくことがその趣旨となっている。その意味で、今回ポイント等を付与するポータルサイトを通じた寄付募集の禁止など、基準の見直しを適時適切に、明確化を含めて行ってきているところでありまして、本来の趣旨に沿った運用を目指してまいりたい」と今後の方針を示した。

◆「女性の就業進展や共働き世帯の増加等を踏まえ、制度上の男女差解消を意図するもの」(8月2日、武見敬三厚生労働大臣)――記者会見で。厚労省は20代から50代のこどもがいない人の遺族年金の受給期間を男女とも5年間とする見直し案を社会保障審議会で示した。見直し案について武見大臣は「女性の就業進展や共働き世帯の増加等を踏まえ、制度上の男女差解消を意図するもの」と説明している。長期間の経過措置を設けて段階的に進めていく方針で、「引き続き国民に対して見直しの趣旨・内容を丁寧に説明するとともに、年末に成案が得られるよう与党とも相談しながら詳細な検討を進めてまいりたい」と語った。

◆「消費税は『預かり金』ではなく、消費者と生産者に被害を与える単なる生産コスト増である」(8月1日、京都大学の藤井聡教授)――自身のYouTubeチャンネルで。藤井教授は「消費税がいかにアホな税金か」と題した動画で「消費税は『預かり金』ではなく、消費者と生産者に被害を与える単なる生産コスト増である」と持論を展開した。「経済学的にも預かり金ではない」と解説しており、消費税は「消費者はもちろん、生産者も損をしている」と語った。増税によって商品の値段が上がることで、販売量が減り、生産者の収益も減ると説明している。

気になるニュースのキーワード

イノベーションボックス税制

 イノベーションボックス税制とは、国内企業の研究開発による知的財産から生じる所得に税優遇を適用する制度のこと。イノベーション拠点税制やパテントボックス税制とも呼ばれる。
 研究開発税制が、法人税額から試験研究費の一定割合(2%~14%)を控除できる「支出に対する税優遇」の制度であるのに対して、イノベーションボックス税制は「収入に対する税優遇」の制度であるのが大きく異なる点といえる。
 日本では、2024年度の税制改正で創設されることが示された。企業が「国内で自ら」研究開発を行った知的財産がもたらすライセンス所得、あるいはその知的財産を譲渡して得た所得、さらには知的財産を組み込んでつくった商品の売却所得に対して、30%の所得控除が認められるようになる。25年4月1日~32年3月31日に開始する各事業年度の所得が適用の対象となる。
 同様の制度は01年にフランスで初めて採用され、08年には中国、14年には韓国、17年にはインド、18年にはシンガポールでもスタートしている。

解説 国の基金

デジタル基盤改革支援基金

 自治体の情報システムを標準準拠システムへ円滑に移行するため2020年に設立。所管は総務省。基金設置法人は地方公共団体情報システム機構。初年度に1787億8800万円、翌年度に追加で316億8100万円の交付を受けている。22年度末時点で基金残高は2080億1500万円。
 これまでマイナポータルなどオンライン手続きの推進や次期自治体情報セキュリティクラウドへの移行を支援してきた。25年3月末までは自治体情報システムの標準化・共通化を支援する。
 21年度と22年度で事業費見込みと実際の事業費の乖離率が90%を超え、予算の執行が行われていない状況が明らかとなった。
 総務省は乖離の理由について、21年度には「22年度夏に公表予定の残りの標準化対象事務の標準仕様書の公表を待って標準化の取り組みに着手する団体が多かった」、22年度には「22度末に改定予定の標準仕様書の公表を待って標準化の取り組みに着手する団体が多かった」と説明している。基金終了時期は26年3月末を予定。

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