毎月更新!時事コラム
最近の税に関するコトバ集
◆「(定額減税による負担減について)重複を認めないといった考え方に立たなかったことにつきまして、国民の皆様にご理解をいただければと考えている」(7月12日、鈴木俊一財務大臣)――記者会見で。一人で二人分の定額減税が受けられるケースがあるが、鈴木大臣は「公平性に配慮することはもちろん重要であるわけでございますが、同時に、一時的な措置であることから、減税の実施にご協力いただく企業や地方自治体の皆様の事務負担にも配慮することも重要である」と述べた。続けて、「特段、重複を認めないといった考え方に立たなかったことにつきまして、国民の皆様にご理解をいただければと考えている」と説明した。
◆「宮城県全体の利益につながると思うものについては、批判を受けながらでも前に進めてまいりました」(7月16日、村井嘉浩宮城県知事)――記者会見で。宮城県では宿泊税導入の検討に際して県内の一部事業者から反対の声が上がるが、村井知事は「今まで、環境税をやったり、発展税をやったり、いろいろな取組をやってまいりました。そのほかにもいろいろな施策を進めてまいりましたけれども、皆さん全員が賛成して前に進めたことは何もございません。常に賛否が分かれる中で、宮城県全体の利益につながると思うものについては、批判を受けながらでも前に進めてまいりました」と語った。
◆「要は使い道が分からないようにできるお金があると、香典などには領収書が要りませんからいくらでも出せるわけです」(7月18日、玉木雄一郎国民民主党代表)――記者会見で。有権者に渡した香典が寄付に当たるとして、公職選挙法違反の疑いで堀井学衆議院議員(自民党を離党)の事務所に家宅捜査が入った。これについて玉木氏は「要は使い道が分からないようにできるお金があると、香典などには領収書が要りませんからいくらでも出せるわけですし、香典を出したことを収支報告書に載せると『誰が持ってきたんだ』と、『本人が東京にいたのに持っていけないじゃないか』と裏がつきやすいので、裏側の支出としては最も好都合です。こういうことが明らかになってきたというのも、この間の裏金問題が問題視されたことの一つの結果だと思います」と述べた。
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ファミリーオフィス
ファミリーオフィスとは、資産が一定額以上の一族が永続的繁栄を目的に、無形・有形資産の一元管理をするために設立する非公開会社のこと。一族が共有する価値観、使命感、社会からの信用・評価など無形資産の継承を扱う点で、資産管理会社とは一線を画す。
設立の目安は100億円以上の資産を有する一族とされている。ただ、近年では金融機関や民間企業が「ファミリーオフィス」という名を冠した派生ビジネスを100億円未満の資産家にも提供。一族の理念といった無形資産を含めて継承するための仕組みとして、相続税の負担が重い日本での注目度が増している。
1882年に「ロックフェラー家」がファミリーオフィスを設立したのが先駆けとなり、1980年代に本格的に普及し始めた。現在米国には3千以上のファミリーオフィスがあるといわれる。
またシンガポールでは、ファミリーオフィスの設立に税制優遇措置を設けており、グーグル創始者のセルゲイ・ブリン氏らがファミリーオフィスを設立している。しかし23年に起きたマネーロンダリング事件以降、現地の金融通貨当局では、従来より厳しい姿勢で審査にあたっている。
解説 国の基金
食品等流通合理化対策債務保証事業基金
食品流通業者の設備投資などを支援するため1991年に設置。所管は農林水産省、基金設置法人は公益財団法人食品等流通合理化促進機構。初年度に3億5千万円の交付を受け、2020年に追加で11億円の交付を受けている。22年度末の基金残高は9億9900万円。
認定を受けた事業の実施にかかる資金調達に、債務保証による支援を行っている。小売店の大規模化や通信販売の拡大による輸送手段確保のため、集荷コストやドライバーの拘束時間を削減するシステムの導入を支援する。
1事業者当たり4億円まで保証。期間は設備投資が最長20年、運転資金が最長5年。保証料は残高に対して年0.8%。
外部有識者からは「累計投下14.5億円に対して代位弁済4.9億円なら、貸倒率が高すぎる」と指摘を受ける。これに対して、農水省は「これまでも代位弁済の発生を受けて債務保証限度額の変更などの見直しを行ってきた。引き続き、必要に応じて見直しを行いながら適切な基金運営に努める」としている。基金終了時期は未定。