毎月更新!時事コラム

第1815号(2024年7月25日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「公的年金制度の持続可能性が確保されていることが改めて確認できた」(7月3日、武見敬三厚生労働大臣)――記者会見で。公的年金の財政検証の結果を踏まえて、国民年金の納付期間5年延長が見送られた。武見大臣は「(財政検証の結果から)将来にわたって所得代替率50%を確保できることが確認されました。この結果を踏まえれば、公的年金制度の持続可能性が確保されていることが改めて確認できた」と説明している。続けて、基礎年金の給付水準について「被用者保険のさらなる適用拡大などを通じた改善は必要」としたものの、次期改正で国民に追加的な保険料負担を求めてまで給付水準を改善する必要性は乏しいと述べている。

◆「(ふるさと納税で)これまでかなり追加的なメリットを得られていたものを適正化させていただく」(7月2日、松本剛明総務大臣=写真)――記者会見で。総務省は2025年10月から、自治体がふるさと納税を募集する際に、寄付した人に特典ポイントを付与する仲介サイトの利用を事実上禁止する。松本大臣は「やはりポイント付与による競争は過熱してきているのではないか。これまでかなり追加的なメリットを得られていたものを適正化させていただく」とコメント。反対の声を上げる一部の事業者に対して「ふるさと納税の本旨にかなった適正化を目指すものであるということをご理解いただいた上で、引き続き丁寧に説明してまいりたい」としている。

◆「もし毎日(税金を)とられるなら湯治文化が消える」(7月4日、宮城県内の宿泊事業者)――県の説明会で。宮城県は県内の宿泊事業者を対象に宿泊税導入の説明会を開いた。ある事業者は「もし毎日(税金を)とられるなら湯治文化が消える。要するに公によって湯治文化が殺される」と宿泊税導入を厳しく非難した。県は一人当たり1泊300円を徴収する宿泊税の導入案を9月以降に議会で提出することを目指している。

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インフレ税

 インフレ税とは、インフレ率が上がり、通貨価値が目減りすることで政府の債務の返済負担が実質的に軽くなること。インフレ税は税金ではないものの、実質的には国民に負担を強いる隠れた〝増税〟とされる。政府・中央銀行が通貨発行特権を駆使すれば意図的にインフレを誘発できる。つまり、巨額の財政赤字の解消策としてインフレ税のメカニズムを容易に実現できる。
 終戦直後、戦費で膨れ上がった国債を処理するために日本銀行が国債を直接引き受け、大量の紙幣を発行した結果、激しいインフレが起きた。東京都の消費者物価指数は1935年前後に比べて47年は110倍、48年は190倍、49年は240倍に達した。紙幣は紙くずと化し、国債の大半が償還された。インフレが税金のように戦費を国民に負担させる手段とされた。

解説 国の基金

円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進基金

 円高やエネルギー制約といった状況下で産業支援の空洞化を防止し、国内産業の競争力強化を図る目的で設立された。
 所管は経済産業省、基金を保有する設置法人は一般社団法人低炭素投資促進機構で、初年度に2千億円の交付を受けた。2014年度~23年度で10回にわたって国庫へ返納しており、その合計額は496億900万円。23年度開始時の基金残高は8200万円。
 活動内容は民間企業に対し、最新の生産設備を導入する費用の一部を補助するもので、これまでの交付は872件。14年3月には新規申請受付を終了したが、管理事案が現在も780件あり、これらの財産処分事務を行うため残置している。24年度中に設備導入後の稼働状況や生産性の向上実績を調査した後、基金を終了する見込み。
 促進機構は「低炭素投資促進法」に基づくリース保険事業を運営するために設立後、経済産業大臣から需要開拓支援法人として指定されている。

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