毎月更新!時事コラム

第1813号(2024年7月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「税金は一切使われていません」(6月14日、小池百合子東京都知事)――SNSで。小池知事は生成AIを使い、「AI百合子」が小池知事のこれまでの取り組みをニュース番組形式で紹介する動画を作成。SNS上では「税金の無駄遣い」と批判が上がった。小池知事は「AIゆりこは、東京都の事業ではありません。小池ゆりこの政治活動の一環として開発・運用していますので、税金は一切使われていません」と説明している。

◆「値段が違うのはグローバルスタンダード」(6月17日、清元秀泰姫路市長)――記者会見で。清元市長は姫路城の外国人観光客の入城料を値上げしたいと発言。現在、18歳以上は一律1000円のところ、外国人観光客の入城料を4倍に引き上げる方針。たくさんの人が利用することで建物の木造部分がすり減り、壊れやすくなるといったオーバーツーリズムの問題を指摘した。清元市長は「憩いの場として利用する市民と、10年に1度観光のために来る外国人観光客を同じ扱いにはできない。グローバルスタンダードの中で、2種類の料金設定があってもいいのではないか」と語った。

◆「全部が禁止では具体的な案を作ることはできない」(6月19日、岸田文雄首相)――党首討論で。お金を集めることができなければ政治の世界に入ることができない状況に対して立憲民主党の泉健太代表は「政治に関心はあるけれど、『こんなにお金がかかるんじゃ入れない』と言ってる人もいる。その人たちに政治資金パーティーでもやれと言うのか。もっと新しい感覚を持った若い世代が入れるような世界にしないといけないんじゃないですか」と疑問を呈した。これに対して岸田首相は「実際問題として政治にはコストがかかる。これをどう賄うかが問題である。政治パーティーは禁止、企業献金も禁止、政策活動費も禁止では、具体的な案を作ることはできない」と反論した。

気になるニュースのキーワード

半農半X

 「はんのうはんエックス」は農業収入と兼業収入を組み合わせて生計を立てるライフスタイル。総務省地域力創造アドバイザーで美術博士の塩見直紀氏が1990年代後半に提唱した。
 「半農半士」、「半農半サラリーマン」、「半農半エンジニア」、「半農半芸術家」など資格や専門スキルを持つ人から、夢を追い求める人までX職は幅広く、年齢もさまざま。
 コロナ禍以降、テレワークの普及で「半農半サラリーマン」の移住や2地域居住が現実的になり、外出自粛期間を経てライフスタイルを見つめ直す人が増えたことから注目された。自治体によっては、移住や就農を後押しするための支援策を打ち出しており、半農半Xの求人をしている農家もあるという。
 愛知県では特設サイト「半農半Xな暮らしガイド」を公開し、県内自治体が実施している支援策を掲載。また島根県は半農半X支援事業で就農前の施設整備と定住・就農初期の営農に必要な経費を助成している。農水省は、農村の活性化と地域産業の振興のために、半農半Xとして農業に参入する静岡県の企業を資料に掲載している。

解説 国の基金

中小小売・流通等合理化促進基金

 消費税の軽減税率の円滑な導入を目的として2015年に設立された。所管は経済産業省。基金設置法人は独立行政法人中小企業基盤整備機構。初年度に約947億円の交付を受けた。
 消費税率の10%への引き上げが延期されたことで、16年度に414億円を国庫に返納したが、二度目の延期により実施期間が19年10月に決まると、18年度には追加で約560億円の交付を受けている。
 事業は中小企業・小規模事業者の複数税率対応レジ導入などを補助金交付によって支援するもの。19年12月に申請受け付けを終了した。約21万者の中小企業・小規模事業者に活用された。補助事業終了後の20年3月に約402億円を国庫に返納している。22年度末時点の基金残高は5400万円。
 21年度以降の支出は管理費のみとなっている。基金を残置する理由について経産省は「事業終了後も、財産処分に関する事業者からの申請・補助金返還手続きの対応を実施する必要があるため」とし、25年3月の終了を予定している。

お問合せ

三重県伊勢市の「税理士法人 あおぞら」では、
起業・独立支援、税金・記帳・会計や
経営計画・資金繰りなどの
会計業務、
相続・事業継承や資産運用・老後資金などの
ご相談に応じております。