毎月更新!時事コラム

第1812号(2024年6月25日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「江戸時代の五公五民と同じ」(6月3日、実業家のひろゆき氏)――SNSで。ひろゆき氏は「年収1200万円の労働者は、税金で50%取られる。江戸時代の五公五民と同じ」と述べた。「労働者が残業してお金を貯めても資産家にはなれない。資産家の金融資産で1200万円の利益への課税は20.315%。資産家は働かずに資産が増え続けて、庶民は老後も働き続ける。金待ちにはとても優しい国」と説明している。さらに、「(政府に)支払わないことを選べないお金は(名称にかかわらず)〝税金〟」と述べ、「再エネ賦課金は払わないと電気が使えないので税金。年金・社会保険料も払わないと給料を貰えないので税金」として、「年金、介護保険料、社会保険料は税金ではないという政府の言葉遊びに騙される日本人は結構多いんですよねぇ」と持論を展開した。

◆「実質的な負担が生じないという説明はまやかし」(6月5日、立憲民主党の鬼木誠参議院議員)――参議院本会議で。支援金制度を盛り込んだ子ども・子育て支援法改正案が参議院本会議で賛成多数により可決した。鬼木議員は「政府は『医療保険制度を活用して事業者から新たに徴収する支援金は、実質的な負担が生じない』と説明を繰り返しておりますが、この制度は増税批判を避けるために取りやすいところから取っているに他ならない。国会での議論を通じて、実質的な負担が生じないという説明はまやかしであることが明らかになった」と批判した。

◆「二重取りにはならない」(6月3日、村井嘉浩宮城県知事)――記者会見で。宮城県が独自に導入している「みやぎ環境税」が6月からスタートした森林環境税と二重課税になるのではないかという指摘に対して村井知事は「森林環境税の方は森林の整備が目的で、我々の環境税はCO2の排出抑制と排出削減、吸収源の確保のように幅広くやっております。重なる部分があれば別の方に予算を回して対応していきたいと思っていますので、二重取りということにはならない」と強調する。県は2つの税の違いについて県民への周知を徹底していく方針だ。

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リパトリ減税

 リパトリエーションとは、企業や投資家が海外から資金を引き揚げ、本国に還流すること。海外子会社の資金を本国に戻したり、海外の資産を売却したりする。略して「リパトリ」。
 「リパトリ減税」とは、資金を海外から国内に戻すリパトリエーションに際して、法人税の税率を下げるなど国が減税措置をとること。海外の資産を積極的に国内へと還流させ、企業の設備投資増加や雇用の拡大を喚起する目的で用いられる政策。
 米国では2005年に1年間限定の措置として実施されると、リパトリエーションによる資金還流が起こり、約3000億ドルが国内に戻ったとされる。これにより米ドルは主要通貨に対して全面高となった。
 また、04年までの3年間は平均1500億ドルの水準で推移していた米国の法人税収が、レパトリ減税導入後の05年には約2800億ドルへと急増した。

解説 国の基金

ムーンショット型研究開発基金

 国が抱える困難な課題を解決するため世界中から科学者の英知を結集し、関係府省が一体となって挑戦的研究開発を推進することを目的に2018年に設立された。所管は経済産業省、基金を保有する設置法人は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で、初年度に200億円の交付を受けた。22年度時点の基金残高は1兆100億2200万円。50年までの達成目標と追加的な取り組みの可能性を加味して、基金の終了時期は未定。
 案件ごとの支出金額の1位から7位までを国立研究開発法人産業技術総合研究所が占めており合計で5億4800万円の交付を受けている。次いで8位から14位までを国立大学法人東京大学が占め、4億4800万円の交付を受けるなど、同じ団体の複数のプロジェクトへの支給が目立つ。
 NEDOは「技術開発マネジメント関連業務等」を目的に03年に設立された。なお、基金の名称は1960年代の米宇宙飛行計画「アポロ計画(月面着陸)」に由来するという。

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