毎月更新!時事コラム

第1811号(2024年6月15日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「複数年度にわたって実施することは考えていない」(5月28日、鈴木俊一財務相)――記者会見で。定額減税について鈴木財務相は「賃金上昇と相まって所得の伸びが物価上昇を上回る状況を作ることにより、デフレマインドを払拭するきっかけとするために実施するものであります。従いまして、定額減税を複数年度にわたって実施することは考えておりません」とコメントした。減税しきれない人を対象に、給付金と併せて4万円以上の恩恵を受ける人がいるとの指摘について「定額減税などとのバランスにおいて可能な限り公平となるように配慮しつつも、地方自治体の事務負担を極力少なくし、国民の皆さんに迅速に支援をお届けするために必要なもの」と述べた。

◆「すべて政治活動で使ってきた経過がございます」(5月27日、自由民主党の菅家一郎衆議院議員)――記者会見で。派閥から受け取ったキックバック分を含めて自身の政党支部に寄付を行い、約148万円の還付金を受け取った菅家議員は「個人寄付における税の還付金は全額、事務所に入金しているので、すべて政治活動に使ってきた経過がございます」と説明した。なお、個人名義から派閥名義に変わった寄付金1289万円の控除分については全額返還したという。菅家議員は「一切、法を犯したわけではない。適正にやってきたことだけは、しっかり認識してもらわなければならない」と述べ、辞職や離党の可能性について否定した。

◆「税金に名前を付けるんじゃない」(5月29日、タレントのパックン)――テレビ番組で。森林環境税の実施についてパックンは「もちろん国民の皆さんと一緒で、森林を守ってほしいし税金をかけるのは当然です。でもこのやり方には大反対」とコメントした。「所得の低い方こそ負担が重い税金のかけ方になっている。さらには、名前は付けているが、年金みたいに完全に切り離さない限りは、お金はどこから来ても一般会計に入ってしまう。使い方はそれぞれの自治体で自由になりますから、このお金が絶対に森林のために使われる保障はない」と指摘。「復興税も被災していないところに、道路整備とかで使われたわけです。税金に名前を付けるんじゃない」と苦言を呈した。

気になるニュースのキーワード

改正雇用保険法

 雇用保険法が改正された。今回の改正では、週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に引き下げられ、加入対象が拡大する。これにより約500万人が新たな対象者になると見込まれている。この500万人は、求職者支援制度の対象にもなる。またリスキリング支援として、新たな給付制度を創設する。
 育児休業給付の安定的な財政運営を確保するために、国庫負担を本来の8分の1に戻し、暫定措置であった80分の1の負担率を廃止する。男性の育休取得増加に対応できるように財政基盤を強化する。そのほか、就業手当が廃止され、就業定着手当は上限を支給残日数(失業手当が受け取れる残りの日数)の20%に引き下げる(現行40%)。
 新たに加入する対象者が受け取れる給付額は現在の加入者と同水準になる。週所定労働時間の見直しは2028年10月1日から施行。ほかは25年4月1日から順次施行される。

解説 国の基金

街なか居住再生ファンド

 地方都市での中心部への居住を推進することを目的として2005年に設立された。所管は国土交通省。基金設置法人は公益社団法人全国市街地再開発協会。初年度に25億円の交付を受け、以降は09年度まで計100億円の交付を受けている。22年度末時点の基金残高は18億9200万円。
 地方都市の中心市街地で「不動産証券化」の仕組みを用いて行う住宅等整備事業に対し、「出資」を通して支援する。15年度まで出資対象事業を募集し、18年度で出資事業を終了している。これまでに21の事業へ出資した。
 外部有識者からは「個別の事業に関する指標がないため、基金設立の政策効果は不明」「出資金の回収状況などがわからないので、事業選定の適切さを評価する材料がない」などの指摘を受けている。
 基金終了時期について国交省は「本基金は、出資先と契約を交わしており、出資金の償還を目指すものであるため、償還期限を考慮し設定している」とし、2046年3月の終了を予定している。

お問合せ

三重県伊勢市の「税理士法人 あおぞら」では、
起業・独立支援、税金・記帳・会計や
経営計画・資金繰りなどの
会計業務、
相続・事業継承や資産運用・老後資金などの
ご相談に応じております。