毎月更新!時事コラム
最近の税に関するコトバ集
◆「全て納付を完了しております」(4月15日、株式会社SMILE-UP.)――声明文で。ジャニーズ事務所が利用していた事業承継税制について株式会社SMILE-UP.(スマイルアップ)は「昨年12月時点で、事業承継税制による納税猶予制度の適用を取り止め、納税猶予税額および利子税について全て納付を完了しております」と報告した。ジャニー喜多川元社長の死後、ジャニーズ事務所は同税制で自社株にかかる相続税の支払いを繰り延べた。スマイルアップは「59年の歴史を有する会社の廃業には、乗り越えるべき課題も多く、どうしても時間を要してしまうことがありますが、専門家の助言を受けながら一歩ずつ、補償と共に誠実に着実に進めております」と旧体制との決別を強調した。
◆「減税という分かりやすい方法で対応したところ」(4月11日、鈴木俊一財務大臣)――決算行政監視委員会で。定額減税の目的について聞かれた鈴木財務相は「コロナ禍や物価高騰という苦しいなかにおきましても納税をしていただいた国民の方々に所得の上昇をより強く実感していただくことが重要である。そういう考えから減税という分かりやすい方法で対応したところ」と答弁した。これに対して自身も会社を経営しているという立憲民主党の青山大人衆議院議員は「私のような小規模事業者の立場からしたらこの給与を支払う際の手間、この手間が大きな負担です。年末調整が2回あるようなものです。通常の年末調整時にこの減税分を上乗せして還付しようとかそういうことは議論されなかったのでしょうか」と疑問を呈した。
◆「万博特有の事象ではない増額です」(4月10日、吉村洋文大阪府知事)――記者会見で。会場建設費の増額にいまだ納得がいかない府民からの声に対して吉村知事は「2回目の増額について資材の高騰と人件費の高騰というのが背景にあります。これは万博に限らず、大阪が進めている他の公共事業でも同じようにある事象なので、万博特有の事象ではない増額です」と説明している。会場建設費は20年と昨年の2回にわたる増額で誘致の際に上限としていた1250億円から2350億円に膨れ上がっている。吉村知事は「結果としては増額しているのは事実ですので、そこは丁寧に説明していくしかない」と述べている。
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口座管理法(預貯金口座付番制度)
4月1日に施行された口座管理法。本人の同意を前提として、複数の金融機関に存在する預貯金口座をマイナンバーに紐づけて管理する。
従来は任意で紐づけすることはできたが、口座ごとに個人が出向いて申請手続きをする必要があった。今後は、ひとつの金融機関で紐づけを希望すれば他行の口座もまとめて紐づけできるようになる。
申請手続きには「本人確認書類」と「本人のマイナンバーカードが確認できる書類」を持参する。マイナポータル経由でも届け出ができるようになるという。紐づけは金融機関が行うのではなく預金保険機構を通じて他行へ通知される。
これによって、災害発生時などにカードや通帳、印鑑が手元になくても個人の口座を確認できるようになると、政府ではメリットを強調している。また亡くなった人の口座を確認できないケースでも、どの銀行に口座を持っていたのかを確認できるという。
ひとつの窓口で複数行・複数口座の照会が可能となり、ネット口座など見つけにくい口座もこの制度を利用すれば特定しやすい。 便利になる反面、国は個人の所得や資産を調べやすくなる。慎重に利用を検討する必要がありそうだ。
解説 国の基金
地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立基金
再生可能エネルギーを活用して地域の農林漁業を発展させるとして、2012年に設立された。所管は農林水産省、基金を保有する設置法人は公益財団法人食品等流通合理化促進機構で、初年度に10億円の交付を受けた。14年度の補助事業残額と事業収益の納付額として2億7000万円、15年度は3500万円、16年度から23年度までは毎年4100万円が国庫に返納された。22年度末の基金残高は1700万円。
開始当初の政策目標には「5年後に全国100地域実現」とあるが公募は1度しか行われず、採択されたのはわずか3地区だった。助成した事業者から売電収入の一部を32年まで回収する予定。ただし、約10年間で回収した金額は3億6300万円にとどまる。
管理費として18年度は1800万円、22年度には1900万円を支出。例年の回収益4100万円に対して半分程度の管理費がかかっている。
政府は、事業が事実上終了していて管理費や事務費だけがかかる無駄な休眠基金を廃止していく方針。「地域還元型再生可能エネルギーモデル早期確立基金」も候補に挙がっており、予定より早期の廃止が検討されているという。