毎月更新!時事コラム

第1831号(2025年1月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「宮沢洋一さんは間違っています」(12月21日、ジャーナリストの櫻井よしこ氏)――自身のSNSで。自民・公明両党の税制調査会が12月20日に与党税制改正大綱を決定。国民民主党が主張する「年収の壁」の引き上げについては「123万円」とする方針を大綱に盛り込んだ。これを受けて櫻井氏は「103万円の壁を自民党は123万円にするといいます。国民民主の玉木さんはなんとせこいことだ。と批判します。178万円を実現したとして7兆円の税収減になるそうです。でもその分、国民の懐が豊かになるのです。お金を世の中に回して経済成長を促すことが大事」としたうえで、自民税調の宮沢会長は「間違って」いると批判した。

◆「政治がつくった発明だ」(12月19日、社会学者の上野千鶴子氏)――プレジデントオンラインで。配偶者控除、第3号被保険者、配偶者特別控除の3制度について、上野氏は「玉木代表は元財務省官僚なのに、『女性が夫の扶養の範囲で働く』というこの時代遅れの制度を、なぜ限度額を引き上げてまで延命させようとしているのか、私には理解できません」と指摘したうえで、「私は家庭にいた主婦を巧妙な手口で低賃金労働にかり出したこれらの税制・社会保障制度を、皮肉を込め『発明だ』と書きました」と述べている。

◆「公務に対する信頼の回復をしっかりと図りたい」(12月20日、玉城デニー沖縄県知事)――沖縄県議会が調査特別委員会(百条委員会)の設置を決めたことを受けて。沖縄県は2015年4月、米軍基地問題の進展を図る目的で米国にワシントン事務所を開設。米国務省から「非営利目的の事業者設立は不適当」との見解が示されたため、県が税金で100%出資する株式会社として設置した。現地に常駐する県職員はビザ取得の際、肩書を「社長」などとして申請していたが、実際には公務員の身分を有したままだった。また、税金を投じているにもかかわらず県の公有財産としての登録も怠っていたことなどが明らかとなり、県議会は2023年度一般会計決算を不認定にした。運営経費は人件費を含め年間約1億円とされる。県議会は「虚偽申請」「兼職違反」「税金で違法状態の事務所を開設・運営」などと批判。これを受けて百条委員会が設置されるに至っている。


気になるニュースのキーワード

報告徴求命令

 三菱UFJ銀行の行員が支店の貸金庫から十数億円相当の金品を盗み取っていた問題を重くみて、金融庁は12月16日、同行に対し「報告徴求命令」を出した。
 報告徴求命令は、金融庁が金融機関や金融商品取引業者に対して、業務・財務状況に関する報告や資料の提出を命じ、検査すること。
 不正な取引の疑いや債務超過による支払い不能の恐れなど、経営を揺るがす問題が生じた際に、利用者保護の観点から事実関係や財務状況などの報告を法律に基づいて要求する。報告だけでは問題の究明が困難だと判断した場合には、立ち入り検査して詳しく調べる。
 この命令に対して虚偽の報告をしたり、資料の提出を拒んだりすれば懲役や罰金を科される。銀行は銀行法、保険会社は保険業法など根拠となる法律が異なる。
 命令を通じて再発防止策の策定とその徹底を促すケースもある。法令違反など悪質な行為が明らかになれば、業務改善命令や業務停止命令といった行政処分を出す。

解説 国の基金

特定鉱害復旧事業等基金

 地表から深さ50メートル以内の採掘跡や坑道跡の崩壊に起因する地表面の陥没(浅所陥没)の鉱害(特定鉱害)の復旧と、特定鉱害が生じている地域の整備を行うために造成された基金。所管は資源エネルギー庁。基金設置法人は公益財団法人特定鉱害復旧事業センターなど12法人。
 2001年度当初予算から293億4200万円の交付を受けてスタート。基金が設置された12地域のうち1地域(熊本県)では、特定鉱害が長期間発生していない状況であることが確認されたため、当該地域の基金を整理。これを余剰部分として取り扱うこととし、23年度に約800万円を国庫返納している。
 残る11地域については「継続的に特定鉱害が発生している状況」であり、「今後の発生を予測することは困難な状況」だとして、「引き続きそれぞれの地域へ残置する必要がある」としている。
 直近4年度の交付決定件数・金額は、20年度が93件・10億5500万円、21年度が97件・6億6800万円、22年度が87件・8億2100万円、23年度が96件・9億5200万。
 基金の運用益を事業に必要な財源の一部として充てる運営形態のため、23年度末の基金残高は274億9900万円となっており比較的目減りが少なく、設置時に交付された293億4200万円の93.7%を維持している。

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