毎月更新!時事コラム

第1785号(9月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「川崎は全国一(ふるさと納税の)影響を受けている」(9月3日、福田紀彦・川崎市長)――会見で。神奈川県の2023年度ふるさと納税による寄付に伴う住民税の控除額が過去最多に上ることが総務省の調査で明らかになった。ふるさと納税は、本来自治体が減収になった場合75%分は国が穴埋めする仕組みになっているが、川崎市は税収が多いため補填を受けることができず、約115億円の税収を失う。「市に納めてもらうはずのものが流出している。市民に使うことができたと思うと額は大きい」と、危機感を示した。さらに同制度の寄付が返礼品目的となっている現状を踏まえ「市民サービスにまわる税が肉や魚に代わっている危機的状況」と、不満を訴えた。このほかにも横浜市、相模原市、藤沢市、大和市など神奈川県の16市町で、集めた寄付金よりも流出額の方が多い「赤字」となった。

◆「これまで消費税を着服してたくせに」(9月5日、実業家の堀江貴文氏)――SNS内で。実業家の堀江貴文氏はインボイス反対運動を主導している団体のニュース記事を取り上げ持論を展開した。「みんな払っている消費税を払わず下駄履かせてもらってなんとか成立していた商売はそもそも成り立っていないんだよ」と、現行の免税事業者へ独自の見解を述べた。「完全に同意。納税は国民の義務」「表現が悪いけど、制度を考えたらその通り」と同氏の発言に理解を示す声がある一方「着服は言い過ぎ」「認められていた制度。着服ではない」との反論も相次いだ。

◆「ある程度余裕があるという判断をした」(9月4日、中村時広・愛媛県知事)――会見で。中村知事は、四国電力に課している核燃料税の税率を24年1月から引き上げ方針を明らかにした。県は3種類の核燃料税のうち原子炉の税率を1000キロワットあたり4万4000円から5万9000円に、使用済み核燃料を1キロあたり500円から600円に引き上げる。中村知事は今回の引き上げについて、四国電力が高松市に外資系高級ホテルの誘致を計画していることを踏まえて判断したと、税率引き上げの経緯を説明した。新たな方式による24年度から5年間の税収は、現在からおよそ20億円多い102億円程度になると見込む。同県は9月議会にも本条例案を提出するとしている。

気になるニュースのキーワード

二重課税

 二重課税とは、一般に同一の物やサービスに対して2つ以上の税金がかかっている状態をいう。
 二重課税について最も多く指摘されているのはガソリンについてだろう。1リットルあたりの小売価格を仮に180円とした場合、ガソリン自体の価格は107.04円、ガソリン税(本則税率)28.7円、ガソリン税(暫定税率)25.1円、石油石炭税+温暖化対策税2.8円、消費税16.36円となり、課税合計額は72.96円と全体の約4割にも上る。
 他に二重課税と批判されているのはたばこと酒だ。たばこの税負担率は担税物品の中で最も高水準である。1箱580円の「メビウス」では、国タバコ税136.04円、地方たばこ税152.44円、タバコ特別税16.4円、それに消費税が52.72円となり、580円の内357.6円が税金という計算になる。
 一方、酒で二重課税とされるのは酒税と消費税だ。なお、酒税は酒の種類ごとに1キロリットルあたりの税率が異なり、ウイスキーやスピリッツと呼ばれる蒸留酒は醸造酒に比べて高税率で、さらにアルコール度数が1度上がるたびに1万円が加算されていく仕組みだ。
 二重課税の中でもガソリンは連日価格が上昇していることから重税感に対する不満の声は日増しに大きくなっている。酒やたばこといった嗜好品と比べ車は生活必需品という人が多いため、今後不満は更に高まるとみられている。

押さえておきたいIT用語

ブロックチェーン

 ブロックチェーンとは、金融取引などの内容や履歴データを正しく保管する技術。仮想通貨の誕生とともに発展した新しい技術で、従来のようにデータを専用サーバーに保管するのではなく、インターネットにつながる複数のパソコンに分散させて保存し、それら(ブロック)を鎖(チェーン)のようにつなげることが特徴となっている。
 ブロックチェーンを構成するそれぞれのデータは暗号化された上で、直前のデータの内容を表す「ハッシュ値」と呼ばれるデータが書き込まれる。過去のある時点でのデータを改ざんしようとしても、変更後のハッシュ値は以前と異なることから、それ以降のハッシュ値と整合せず、不正なデータとして弾かれてしまう。このようにブロックチェーンで管理されるデータは改ざんや破壊が難しく、またデータを分散保存するためサーバーのダウンなども起こりにくいメリットがある。
 概念としては1991年には存在していたが「ビットコイン」の登場で一躍脚光を浴びた。現在では銀行などの金融システムや食品の流通システムへ応用する取り組みが進む。ただブロックチェーン特有のセキュリティー上のリスクも存在し、過去には約580億円分の仮想通貨が流出した「コインチェック事件」が起きるなど、普及に向けては検討すべき点も多い。

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