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最近の税に関するコトバ集
◆「メガネに罪はないし、メガネ=増税でもない」(8月27日、泉房穂・元明石市長)――SNSへの投稿で。防衛増税やサラリーマン増税など、増税のイメージがついた岸田文雄首相に対してインターネット上で「増税メガネ」というあだ名が付けられたことに対してSNSで反応した。「ご勘弁願いたい。世の中には、メガネをかけている人は数多くいて、私もその1人」とコメントした上で、「増税には反対だが、メガネに罪はないし、メガネ=増税でもない。それに増税されたら新しいメガネも買えなくなってしまう…」と皮肉たっぷりにつぶやいてみせた。
◆「トリガー条項を解除すると買い控えが起きる」(8月29日、鈴木俊一財務相)――閣議後の会見で。ガソリンの平均小売価格が一定水準を超えた場合、税を軽減するトリガー条項について「発動は見送る」と述べた。その理由として鈴木氏は、「補助金と異なり重油や灯油について対応できない。発動・終了時に大幅な価格変動が生じて、発動前の買い控えとか、終了前の駆け込みとか、それに伴う配送の乱れや品不足といった現場に与える影響が大きい。こういった課題を解決するための方策を見出せていない」と説明した。この発言に対してはインターネット上で、「明日からガソリンが値下げするから今日は出勤やめようとかできると思うのか?」「日常的に使うからしかたなく給油している」といった批判や、「トリガー条項が存在してるんだから発動する時に備えて課題を解決しとくのが仕事でしょ」といった厳しい声も聞かれる。
◆「ガソリン税は到底理解納得できない仕組み」(8月31日、日本自動車連盟のSNSアカウント)――SNSへの投稿で、ガソリン価格が高騰し続けている現状を受け、日本自動車連盟(JAF)は減税を求める声明を発表した。ガソリンにかかる税金として、「当分の間」としてリッター当たり25.1円の特例税率が上乗せされ続けているのに対し、これを当面の間廃止することを要望した。またガソリン税に対して消費税がかかる「Tax on Tax」の仕組みについても「小売価格がガソリン自体の価格の約1.6倍になっている」として見直しを求めた。JAFはこれらの税制を「到底理解納得できない」と強烈に批判し、一刻も早く解消すべきと訴えた。

気になるニュースのキーワード
トリガー条項
トリガー条項とは、ガソリンの価格が一定期間高止まりしたときに、ガソリンにかかる税率を引き下げる規定のこと。2010年に導入されたが、現在に至るまで発動されたことはない。
もともとガソリン税(揮発油税と地方揮発油税)は、1L当たり28.7円が本則税率だが、道路整備の財源不足に対応することを目的に1974年、25.1円の「暫定税率」を上乗せすることが決まった。
2009年の衆院選で民主党は、この暫定税率の廃止をマニフェストに掲げて勝利するが、与党となってから財源不足に対応するために暫定税率の見直しを凍結。しかしマニフェスト違反が世間から猛批判を浴びたため、「ガソリン価格が3カ月連続で160円を超えたときには暫定税率分の25.1円を停止する」とのトリガー条項を定めた。なお解除条件は「ガソリン価格が3カ月連続で130円を下回ったとき」とされている。
しかし翌年、東日本大震災が発生したことに伴い、政府は復興財源の確保を理由にトリガー条項を凍結。復興状況に応じて解除するとしたものの、それから10年以上が経った今も凍結されたままとなっている。
ガソリン価格の高騰を受けてトリガー条項の解除を求める声は高まるばかりだが、政府はあくまで補助金で対応し、トリガー条項には触れない姿勢を堅持している。

押さえておきたいIT用語
AWS
AWSはAmazon Web Serviceの略で、通販で有名なAmazon社が提供するクラウドサービスのこと。クラウドサービスとして世界シェア1位を誇り、多くの民間企業や地方公共団体が行うインターネット経由のサービスの多くが、AWSの仕組みの上で動いている。
インターネットを通じて何かをするには、データを保存したり伝達したりするためのサーバーやネットワークが必須だ。サービスの規模が大きくなるほど維持コストは膨大になり、それを貸してくれるのが「クラウドサービス」といえる。
もともとショッピングサイトであるAmazonは膨大なデータを処理するために大きなサーバー等を抱える必要があり、その技術を応用して、他の企業や個人にも貸与する形にしたのがAWSだ。現在ではAmazon社の収益の大半が、AWSによるものとなっている。
AWSはサービスの豊富さや安定性が人気で、クラウドサービスの34%のシェアを占める最大手だ。多くの企業がAWSを利用しており、例えばゲーム会社の任天堂のネットワークサービスや、PayPayの決済システムは、すべてAWS上で動いている。民間企業だけでなく地方公共団体もAWSを使っていることが多い。
ただ安定性が売りのAWSもトラブルと無縁ではなく、2021年にはAWSの障害が原因でニンテンドー・スイッチのネットワークが一時的に全面停止したこともある。
