毎月更新!時事コラム

最近の税に関するコトバ集
◆「オオタニ税なら気にならない」(6月23日、ダグ・マケイン記者)――米ポッドキャスト番組で。野球の米大リーグで今季終了後にフリーエージェントとなるエンゼルス・大谷翔平選手の去就について、「ドジャースは大谷のために全てを投げ打つ」と題した動画を公開した。ロサンゼルス・ドジャースは大谷選手の移籍先の有力候補とされている。共演者に大谷獲得にかかる資金について聞かれると、「ドジャースは収入や観客動員数でいつもメジャートップ。資金力に問題はない」と答えた。球場の駐車場代や場内の飲食物の値上げに不平を漏らすファンがいることに対しても、「駐車場代やビール代の値上げも、大谷と契約できるなら気にならないだろう。それは大谷に捧げる〝オオタニ税〟だ」と獲得に期待を寄せた。
◆「私は本日マイナンバーを返納しました」(6月26日、タレントのラサール石井さん)――自身のTwitterで。マイナンバー制度で個人情報の漏えいなどのトラブルが相次いでいることを受け、取得したマイナンバーカードを返納したことを報告した。投稿には「マイナンバーカード返納運動」「保険証廃止は白紙に戻せ」などのハッシュタグも付け、政府が推進するマイナンバー制度への反対姿勢を強調した。石井さんの行動に対しては、実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文氏がTwitterで、「カード返納してもマイナンバーは付与されてるんで不便になるだけなんだけど笑」「ラサール石井の為に無駄な税金が注ぎ込まれる」と批判している。
◆「タワマンの評価額と実勢価格があまりにもかい離していて不自然」(6月26日、鈴木俊一財務相)――閣議後の記者会見で。タワーマンションの相続税評価額の計算ルールを見直すよう検討していることについて聞かれ、「令和5年度の税制改正大綱において、市場価格との乖離の実態を踏まえて適正化を検討するとされた。それを受けて国税庁に今年1月に有識者会議を設置し、具体的な内容について今検討を行っているところ」と答えた。見直しの目的について、「評価額と実勢価格があまりにも乖離をしているということが不自然なこと」と節税行為の防止を念頭に検討している認識を示し、「税収を増やすことではなく制度の公平性を保つことが趣旨」と強調した。

気になるニュースのキーワード
通貨スワップ
通貨スワップとは、2国間で通貨を交換する契約のこと。自国で通貨危機が起きた際、自国通貨と引き換えに相手国の通貨をあらかじめ定めたレートで融通してもらうことで、自国通貨の価値が暴落していたとしても経済危機を回避することができる。6月29日、日本と韓国は最大100億ドル(約1.4兆円)のスワップ協定を結ぶことで合意した。
アジアにおける通貨スワップの始まりは、1997年に起きたアジア通貨危機だ。米国の機関投資家が大量の通貨の空売りを行ったことで、タイをはじめとするアジア各国で急激に為替レートが暴落。タイ、インドネシア、韓国などが経済に大きな打撃を受け、日本でも融資の焦げ付きが続発した。そこで東アジア諸国は金融協力に向けて議論を重ね、諸国間でスワップ協定が結ばれるようになった経緯がある。
また今回の日韓スワップ協定の再開は、経済協力というよりは両国の関係改善の証という側面も強い。歴史問題などで関係悪化が進んだ2015年に韓国がそれまでのスワップ協定を打ち切り、その後は日本が対抗するように再開協議を凍結していた。韓国の尹錫悦政権が融和的な姿勢を打ち出していること、日本は自衛隊機へのレーザー照射問題を〝手打ち〟にすることで、8年ぶりの再開と相成った。

押さえておきたいIT用語
画像生成AI
画像生成AIとは、文章や単語で出来上がりのイメージを指示したり、元となる画像を指定したりすると、自動的に画像やイラストを生成するソフトのこと。2022年6月にリリースされた画像生成AIサービス「Midjourney」がブームに火を付け、その後「Stable Diffusion」など多数のサービスが生まれた。
画像生成は、ディープラーニングと呼ばれる機械学習の手法で行われる。インターネット上などにある膨大な数の写真やイラストを取り込んで学習し、そのデータを基に画像を生成する仕組みだ。
かつてAIが生成する画像は、ひと目で分かるほど不自然な出来上がりだったが、現在では本物と見分けのつかないような品質となっている。今年5月に集英社の週刊プレイボーイ誌は、AIで生成した「グラビアアイドル」の写真集を発売した。またAdobe社の画像生成AIは、実際の写真に建物を「追加」したり、写っていない部分を「補完」したりできるという。
ただ本物と見分けのつかない画像が生成されることで、フェイクニュースへの利用などの懸念は強い。また学習元が既存の写真やイラストであることから、著作権関連のトラブルも発生している。前述のプレイボーイ誌はその後、「生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなかった」として、写真集の販売を中止している。
