毎月更新!時事コラム

最近の税に関するコトバ集
◆「税金で食うとる息子にどんなしつけしてんの」(5月28日、落語家の笑福亭鶴瓶氏)――ラジオ番組で。首相公邸内での不適切行為が発覚した岸田文雄首相の長男・翔太郎秘書について、「税金で食うとんのにひどいもんですよ」と批判した。翔太郎氏の不適切行為とは、昨年末に首相公邸内で親族らと忘年会を開き、個人的な飲食や写真撮影を行ったというもの。親族がじゅうたんに寝そべる様子など〝大はしゃぎ〟な写真が流出し、野党からは「公私混同も甚だしい」「公邸で宴会など聞いたことがない」など批判の声が上がった。翔太郎氏は首相の外遊同行時に公用車で観光していた疑惑もあり、鶴瓶氏は「岸田のおっさんも野党ももっと怒らなあかんとちゃうの」「総理も考えなあかんですね。どんなしつけをしてきたのか」と非難した。なお、翔太郎氏は6月1日付で首相秘書官を辞職し、事実上の更迭となった。
◆「子ども予算を赤字国債で賄ってはいけない」(5月29日、財政制度等審議会)――政府の「骨太の方針」への提言で。少子化対策財源を赤字国債で賄う政府案について、「これから生まれる子どもたちの世代に先送りすることになっては本末転倒だ」として「赤字国債の発行は認められない」との見解を示した。政府は異次元の少子化対策の実現に向け、将来的に子ども予算の倍増を目指すとしている。財源については検討中だが、税や社会保障料などで安定的に工面できるようになるまでは、赤字国債の一種である「つなぎ国債」で賄う案が有力視されている。
◆「ふるさと納税の赤字がなければ給食費を無償化できた」(5月30日、静岡県長泉町の池田修町長)――記者会見で。2022年度のふるさと納税流出額が約1.6億円と全国の町村で最大になったと発表し、「町の小中学校の給食費とほぼ同額の赤字だ。制度設計の甘い制度で本当に腹立たしい」と苦言を呈した。ふるさと納税制度では、寄付先の自治体の税収が増える一方で、寄付者が暮らす自治体は寄付金控除により税収減となる。ふるさと納税で赤字になった市町村には赤字額の75%を地方交付税で補てんする救済措置があるものの、長泉町は不交付団体であり支援が受けられない状況だ。池田氏は「制度を批判し突っ張ってきたが、今後は返礼品開発をやらざるを得ない」と述べた。

気になるニュースのキーワード
新NISA
新NISAとは、金融商品を対象とする少額投資非課税制度「NISA」をリニューアルした新制度だ。2023年度税制改正に盛り込まれ、24年1月からスタートする。変更点は、①税金が免除される「非課税保有期間」の無期限化、②非課税で投資できる1年あたりの上限額「非課税投資枠」の拡大、③資産売却による非課税投資枠の復活――と大きく分けて3つだ。
まず「①非課税保有期間の無期限化」により、これまで最長20年間となっていたNISAの適用可能期間が撤廃され、新NISAは恒久的に適用可能となる。
また「②非課税投資枠の拡大」により、これまで年間120万円が上限とされていた非課税投資枠が、新NISAでは最大360万円と大幅に引き上げられる。もっとも年間360万円を無期限で積み立てられるわけではなくトータルの非課税投資枠は1800万円が上限となっている。金融資産を多く保有する富裕層が過剰に優遇されることを防ぐための措置だ。
さらに新たな仕組みとして「③非課税投資枠の復活」が盛り込まれた。これまではNISA利用中の金融商品を売却しても非課税投資枠は再利用できなかったが、新NISAでは売却した資産の元本分の投資枠が復活し、再び非課税で運用できるようになる。
なお、2023年度内に現行のNISA口座を開設しておくと、従来のNISAと新NISAの2本立てで運用可能だ。

押さえておきたいIT用語
プロンプトエンジニア
プロンプトエンジニアとは、文書や画像などのコンテンツを自動生成する「生成人工知能(生成AI)」を使いこなすことに特化した専門家だ。2022年8月に公開された画像生成AI「ステーブル・ディフュージョン」や同9月リリースの動画生成AI「メーク・ア・ビデオ」、同11月公表の対話型AI「チャットGPT」など高精度な生成AIが次々に登場する中、さまざまな事業者でニーズが高まっている。
プロンプトエンジニアの主な役割は、効果的な命令文(プロンプト)の作成だ。生成AIはユーザーの入力したプロンプトに基づいてさまざまなコンテンツを自動生成するが、指示があいまいだと的外れな回答や作品が創出されてしまうことがある。そこでプロンプトエンジニアは、生成AIからより品質の高いコンテンツを引き出すためのプロンプトの研究を担う。
生成AIの普及に伴いプロンプトエンジニアの需要が高まっている。チャットGPTを開発した米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、ツイッターでプロンプトエンジニアの必要性を説明した上で「効果的なプロンプトの作成能力は圧倒的に稼げるスキルになるだろう」との見解を述べた。実際に米メディアのブルームバーグによると、「米国や英国の求人情報では年収17万5000ドル(約2300万円)から33万5000ドル(約4500万円)とかなりの高給が提示されるようになった」という。
