毎月更新!時事コラム

第1774号(6月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「経団連トップが消費増税の提案をするようでは世も末」(5月25日、島根県の丸山達也知事)――記者会見で。国の少子化対策の財源を巡り経団連の十倉雅和会長が「消費税の活用を議論すべき」と主張していることについて、丸山氏は「日本の大企業が集まる団体のトップの発言とは思えない。世も末な感じがしますよ」と批判した。政府は「異次元の少子化対策」の実現に向け、将来的に子ども予算の倍増を目指すと発表している。新たに必要となる財源について政府は社会保険料への上乗せを念頭に増税はしない意向を示しているが、十倉会長は4月の政策提言で「社会保険料を引き上げると現役世代に負担が偏る」と指摘した上で「消費税を例外視することはない」と主張した。これについて丸山氏は「粉ミルクにもかかる税金を増やせとは。それで子どもが増えると思いますか」「お金のない人は子育てを諦めてくださいと平然と言われるなんて社会がおかしくなっている」と非難した。

◆「扶養控除は整理する必要がある」(5月23日、鈴木俊一財務相)――記者会見で。政府が検討を進めている児童手当の拡充にあたり、「扶養控除も整理する必要がある」と述べて従来の控除制度の縮減や廃止を示唆した。児童手当の拡充案は所得制限の撤廃や支給対象年齢の延長、支給額の倍増などを予定するもので、政府は少子化対策の柱と位置付けている。鈴木氏は「扶養控除の見直しは財源確保を目的とするものではない」としつつも、「歳出と税制のあり方は総合的に検討しなければならない」と従来の控除制度を見直す必要性を語った。

◆「森林環境税と県民税は二重課税」(5月23日、三重県の稲森稔尚議員)――三重県議会で。県が県民から徴収している「みえ森と緑の県民税」について、「国が2024年度から導入する『森林環境税』と二重課税になるのでは」と問題提起した。森林環境税とは、温室効果ガス削減や森林整備に充てる財源確保を目的とする国税で、年額1000円を住民税に上乗せして徴収するもの。一方の緑の県民税は、公共建築物の木造化や森林づくり、環境教育などに充てる三重県独自の県税だ。稲盛議員の主張に対し県の農林水産部は「それぞれ使途が異なっており二重課税ではない」との見解を示した。

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フリーランス新法

 フリーランス新法とは、一人親方や配達員、システムエンジニアなど個人で業務を請け負う「フリーランス」が不利益を被らないよう、取引上の立場の強い発注者に一定の配慮をするよう義務付ける新制度だ。今年4月に成立しており、施行は来秋となる見込み。
 同法施行後は、発注先のフリーランスに対して業務内容や報酬額を書面やデータで示さなければならなくなる。また、成果物を受け取ってから60日以内に報酬を支払うよう義務化される。さらに、一方的な業務内容の変更や報酬の減額は禁じられる。違反が発覚すると、公正取引委員会による立ち入り検査や是正命令が行われ、従わなければ50万円以下の罰金や社名の公表など罰則の対象となる。
 現行の下請法でもフリーランス新法と同様の規制は設けられているものの、資本金1千万円以下の小規模事業者による発注は取り締まりの対象外になっているなど規制に〝抜け穴〟があった。新法では事業者の規模に関係なく規制対象となる。
 なお同法で保護されるフリーランスの定義はおおむね、「業務の受託を行っており、従業員を使用していない個人」もしくは「業務の受託を行っており、代表者以外に役員や従業員のいない法人」となっている。政府の調査によると国内のフリーランスは462万者に上る。

押さえておきたいIT用語

偽サイト

 偽サイトとは、実在する企業や公的機関のウェブサイトに似せて作られた違法なウェブサイトのこと。正規のウェブサイトと思い込んだ利用者にクレジットカード情報の入力や銀行口座への振り込みなどを促し、個人情報や現金を詐取する手口だ。コロナ禍でオンラインサービスが普及したことに伴って偽サイトも急増し、セキュリティソフト開発会社のBBソフトサービスによると2022年の検知数は約5190万件と前年比1.5倍になった。
 身近なサービスの偽サイトが多数発見されている。イスラエルのセキュリティ大手によると、世界的に注目を集めている対話型人工知能「チャットGPT」関連の偽サイトは4月時点で530件を数えた。コンピューターウイルスを含んだファイルのダウンロードを促そうとするものや、クレジットカード情報を入力させようとするものがあったという。
 また国税庁も、「『National Tax Agency(国税庁)』を名乗る者から、国税庁の偽サイトを案内するメールが届く事例が発生している」と注意喚起している。本人確認と称して名前や生年月日、デビットカード番号などを入力させる事案があったという。
 警察庁は偽サイトによる被害を防ぐため、①URLやドメインに違和感がないか、②「本日限り」など購入や入力を急がせていないか、③日本語が不自然でないか――などを確認するよう求めている。

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