毎月更新!時事コラム

第1754号(11月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「消費減税を提言したのは間違いだった」(10月28日、立憲民主党の枝野幸男前代表)――ユーチューブのライブ配信で。昨年の総選挙時に立民代表として掲げていた「時限的な5%への消費減税案」について、「政治的に間違いだったと強く反省している。二度と減税とは言わない」と撤回した。法人税や所得税などの大規模減税策を打ち出して自国通貨の大暴落を招いた英トラス前政権を引き合いに出し、「政府に対する信頼がますます落ちるおそれがあることを考えるべきだった」と述べた。一方、立民の岡田克也幹事長は記者会見で「党内では今も消費減税を公約に掲げている」としたうえで、「枝野前代表がどういう思いで発言したのかわからない。本人から意見聴取したい」と語った。

◆「防衛費確保のためには法人増税もあり得る」(10月27日、公明党の北側一雄副代表)――記者会見で。中国や北朝鮮を念頭に有事のリスクが高まっているとして防衛費積み増しの必要性を訴えたうえで、財源を確保する手段として「将来的には法人増税も一つの選択肢になる」と述べた。防衛費の大幅拡充は与党の公約のひとつで、2027年度までにNATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)を念頭に増やすとしている。21年度の防衛費は約5.3兆円、GDP比1.07%であり、公約実現にはこれまでの倍の予算を割く必要がある。北側氏は法人増税のタイミングについて「経済情勢からして今すぐは難しい」とし、当面必要となる財源については、使いみちを明らかにしたうえで通常より短い期間で償還する「つなぎ国債」の発行を提案した。

◆「マイナンバーカードの是非をいちいち国民に聞く必要はない」(10月26日、元デジタル相の平井卓也衆院議員)――講演で。国が推し進めているマイナンバーカードの普及について、「次世代の社会インフラにするには反対があっても突き進むべきだ」と主張した。財政支出の規模や個人情報の保護に不安の声が上がっていることについては、「国として当然に検討済みの内容だ」と一蹴した。ただ、「マイナポータル」の利用規約には、免責事項として「システム利用者または他の第三者が被った損害について一切の責任を負わない」との記述があり、SNS上では「不都合があれば規約を盾に逃げる気か」との批判もある。

気になるニュースのキーワード

パブリックコメント

 パブリックコメントとは、行政機関の命令制定にあたりあらかじめ国民に意見を求めるよう定めた行政手続法上の制度のこと。対象となる命令には、内閣の「政令」や各府省大臣の「省令」、行政庁内部の「通達」などがある。命令案が固まるとデジタル庁運営のウェブ行政サービス「e-Gov」で関連資料の公示や意見の募集が行われ、意見の検討結果は命令制定と同時期に公表となる。副業の所得区分を巡り国税庁が当初案として示していた「300万円基準」を巡っては、通常の70倍に上る7千件超の意見が寄せられて話題となった。
 だが、すべての命令でパブコメが実施されているわけではない。行政手続法は、①公益のため緊急に命令を定めなければならない、②ほかの行政機関がすでにパブコメを実施したものと同一内容の命令となる、③納付すべき金銭に関する法律の制定や改正に付随している――といった一定の条件を満たす命令についてはパブコメを省略可能としているためだ。例えば国税庁の通達は、③の「納付すべき金銭に関する法律の制定や改正」に該当しているため、必要に応じてパブコメを実施せずに制定することができる。
 税務関係の命令をパブコメから除外可能とする理由について財務省は、「税はほとんど全ての国民が利害関係者であり(中略)パブコメを行うと収集がつかなくなるため」と説明している

押さえておきたいIT用語

レガシーシステム

 レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで作られている販売管理システムや在庫管理システム、財務会計システムといったITシステム全般を指す。国によると2025年には「21年以上にわたって稼働しているレガシーシステム」が国内のシステムの6割を占めるようになり、「高コストなレガシーシステムの保守・運用にIT人材が浪費される」ことで年間最大12兆円の経済損失が生まれる見込みとなっている。
 レガシーシステムの問題点としては、①新技術との互換性が低く、IT技術のトレンドの変化に対応できない、②ソフトウエア会社からのサポート切れやプログラム設計書の紛失、担当技術者の退職でメンテナンスが困難になる、③プログラム言語の衰退による技術者不足で保守運用コストが高額化する、④年々膨大化するデータ量に処理能力が追い付かなくなりシステム障害が発生しやすくなる、⑤遠隔操作に対応していないシステムが多くテレワークのような働き方の多様化に対応できない――などがある。
 レガシーシステムを脱却する主な方法としては、同様の機能をもつシステムを新しいプログラミング言語で開発し直す「リライト」や、システム・機材の古くなった箇所を部分的に刷新する「リホスト」、既存のシステムを維持しつつクラウドサービスなど新たな環境に移行させる「マイグレーション」がある。

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