毎月更新!時事コラム

第1752号(10月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「国民に協力を呼び掛けて、消費税率を19%まで引き上げるべき」(10月11日、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事)――任期満了前の総括提言で。日本の福祉制度について、将来的には「現在の『中福祉・低負担』から『中福祉・中負担』への転換が必要となる」と述べたうえで、あらたに必要になる財源については「生活者に財源確保への協力を呼び掛け、消費税率を引き上げて賄うべきだ」と訴えた。提言では今後10年間で消費税率を現行の10%から13%に引き上げることを目指すよう求めているが、その後も段階的に引き上げる必要があると言い、「同友会の試算では、2050年度に財政赤字を爆発させないようにするには消費税率が19%必要」と見ている。

◆「円安による含み益を経済対策の財源に充てるべき」(10月6日、国民民主党の玉木雄一郎代表)――衆院代表質問で。記録的な円安により政府が保有するドル建て資産の含み益が多額に上っていると指摘し、「コロナ禍や物価高騰の経済対策の財源にすべきだ」と主張した。政府は為替相場に介入するための原資として、外国為替資金特別会計(外為特会)にドル建ての米国債など約1.3兆ドル(約180兆円)の資産を保有している。玉木氏は外為特会の含み益として「単純計算でも37兆円ほど増えている」としたうえで、「円安で国が儲かりウハウハとなっている一方で、物価高により苦しんでいる個人や事業者がいっぱいいる。円安で国が儲けた分を経済対策に使わない手はない」と訴えた。

◆「防衛費を法人増税で賄おうとするのはいかがなものか」(10月3日、経団連の十倉雅和会長)――記者会見で。防衛費を積み増すための財源として、法人税を引き上げる案が政府内で出ていることについて触れ、「防衛費は国民全体で負担すべき性格のもの。法人増税ありきで議論するのはいかがなものか」とけん制した。防衛費の大幅拡充は自民党の公約の1つで、2027年度までにNATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)を念頭に増やすとしている。21年度の防衛費は約5.3兆円、GDP比1.07%であり、公約実現には現状の倍の予算を割く必要がある。十倉氏は法人税の増額規模などの目安について「いまのところ政府から十分な説明はない。今後の議論を注視していく」と述べた。

気になるニュースのキーワード

経営者保証

 経営者保証とは、中小企業が金融機関から融資を受けるにあたり、経営者個人が会社の連帯保証人となることを指す。融資を回収できないリスクを減らす目的で金融機関に要求されるが、当然ながら保証人となった経営者は個人資産を失うリスクにさらされる。東京商工リサーチの調査によると、倒産した中小企業の7割近くで経営者自身も自己破産を余儀なくされているという。
 政府は、経営者保証により経営者個人が大きなリスクにさらされることが経営判断や事業承継に悪影響を及ぼしているとして、かねてより金融機関に改善を求めている。政府の働きかけを受け、2014年には全国銀行協会と日本商工会議所が一定の基準を満たした企業に対して経営者保証を求めないよう金融機関に要請する「経営者保証に関するガイドライン」を策定した。現在も中小企業庁や金融庁がガイドラインの活用事例集を定期的に公表するなどして普及を進めている。
 ガイドラインの策定以降は改善しつつあるものの、いまなお多くの中小企業の新規融資で経営者保証が要求されている。2021年度の新規融資で経営者保証が付けられた割合は、民間金融機関で70%、政府系金融機関で53%だった。
 岸田政権が掲げる「新しい資本主義」では、経営者保証が「創業意欲の阻害要因となっている」として、起業家に経営者保証を求めない新制度を検討するとしている。

押さえておきたいIT用語

マルウエア

 マルウエアとは、プログラムの書き換えや個人情報の収集、プログラムの妨害などを行う悪意のあるソフトウエアの総称。代表的な例としては、不正にファイルの書き換えや複製を行う「コンピューターウイルス」や、正規のソフトウエアを装って気づかれないように攻撃を加える「トロイの木馬」、ユーザーのシステムを暗号化したうえで金銭を要求する「ランサムウエア」、個人情報の収集を主目的とする「スパイウエア」などがある。
 侵入経路による分類では、マルウエアを埋め込んだウェブサイトを媒介とする「ウェブ感染型」や、マルウエアを含む添付ファイルをメールで送りつける「メール添付型」、プログラムの設定不備や脆弱性を突いてマルウエアを侵入させる「ネットワーク感染型」などがある。
 インターネット交流サイト「フェイスブック」を運営する米メタはこのほど、マルウエアを含む不正アプリ約400種類を特定して一覧を公表した。利用者らのパスワードを盗むマルウエアが多くを占めた。写真編集や音楽再生などの機能を持つようにみせかけ、米グーグルの「グーグルストア」や米アップルの「アップルストア」を通じて販売されていたという。メタの公表を受け、グーグルとアップルは該当の不正アプリを削除したと発表している。

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