毎月更新!時事コラム

第1751号(10月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「安倍晋三元首相が消費税を上げる決断をしたのは、日本の若者のためだ」(9月27日、岸田文雄首相)――国葬で述べた追悼の辞で。安倍元首相が2度にわたる消費増税を実行したことについて、「保育費や学費の引き下げにより、若者たちに日本の将来を託すための決断だった」としたうえで、「安倍元首相は我が国の憲政史上で最長の政権を築いたが、歴史はその長さよりも達成した事績によって記憶するだろう」とたたえた。安倍政権は消費税率を2014年に5%から8%へ、19年に10%へ引き上げた。一方で政権発足時の12年に37%だった法人税率を29.74%まで段階的に引き下げており、野党議員からは「消費増税は大企業を優遇するための法人減税の穴埋めになったにすぎない」との批判もある。

◆「大規模減税策はかえって格差拡大を助長する」(9月27日、国際通貨基金)――声明で。英国が所得税や法人税、印紙税などを対象として450億ポンド(約7兆円)に及ぶ減税策を決めたことについて、「インフレが進んでいるにもかかわらず大規模な減税を実行すると、英国内で物価高騰を引き起こして不平等を加速させるだろう」と批判した。国際通貨基金によると、減税策の実行により納税という一種の通貨需要が減るため、貨幣価値が下がり物価が上昇するという。先行き不安からすでに為替取引市場で英ポンドの価値は大幅に下落し、対米ドル比で史上最安値を更新した。英国のクワーテング財務相は「減税政策は経済成長の足掛かりになる」と主張している。

◆「マイナポイント事業は邪道という認識はある」(9月20日、河野太郎デジタル相)――記者会見で。マイナンバーカードの新規取得により最大2万円分のポイントを付与する政府の「マイナポイント事業」について、「利用者にとって魅力的なサービスの提供ができていない段階でカード取得を促すことについて、邪道という認識は持っている」と話した。12月末を期限とする「マイナポイント第2弾」では約1兆4千億円の予算を割いている。河野氏は「将来的にはいろいろなサービスを付帯していく」と国民の理解を求めたが、SNS上では「邪道な事業に税金を使わないでほしい」「そもそもカード自体が不要」などと批判の声も上がっている。

気になるニュースのキーワード

相続登記の義務化

 相続登記の義務化とは、相続により取得した不動産の名義を相続人に変更することを義務づける新制度を指す。民法や不動産登記法など関連法の改正はすでに終わっており、2024年4月から施行する。
 これまで、相続で引き継いだ不動産を登記するかしないかの判断は相続人に委ねられてきた。そのため固定資産税の税負担回避や土地管理の放棄などを目的に登記しない相続人が多く、活用も管理もされないまま本来の所有者が分からなくなった「所有者不明土地」が全国に多発していた。
 そこで新制度では、相続による取得を知ってから3年以内の登記申請を義務付ける。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料を科す。それでも10年間にわたり届出がなければ、法定割合で分割したものとみなす。相続人の間で遺産分割協議がまとまらないなど登記不可能な一定の事情があれば、法定相続分で仮の登記を行っておくと一時的に過料を免れられる。なお、新制度の施行前に相続が発生していても登記の申請義務は発生する。
 義務化にあわせ、相続登記にかかる負担を軽減する仕組みを導入する。自治体の個人情報管理システム「住基ネット」の活用により行政が死亡者を把握し、死亡した人が名義人だった不動産の一覧情報を発行して相続人らが相続対象の不動産を把握できるようにする。

押さえておきたいIT用語

GPS

 GPS(Global Positioning System=全地球測位システム)とは、米国が宇宙に打ち上げている「GPS衛星」からの信号を「GPS受信機」で受け取ることにより、GPS受信機を搭載したスマートフォンやパソコン、自動車、飛行機などが地球上のどこに位置しているのか把握できる技術だ。GPS衛星は地球を取り囲むように約30基が打ち上げられており、複数のGPS衛星から同時に信号を授受することでGPS受信機の正確な位置情報を割り出せるようになっている。
 身近な活用例としては、自動車の現在地と目的地への道順を確認できる「カーナビ」や、米グーグルが提供する地図情報サービス「グーグルマップ」、位置情報を利用して遊ぶスマホゲーム「ポケモンGO」などがある。
 GPSは米国が軍事用技術として1970年代に開発した。その後、領空侵犯を理由に旧ソ連が旅客機を撃ち落とした83年の大韓航空機撃墜事件の発生を受け、民間でも利用されるようになった。
 米国のGPSに追随して世界各国が類似システムの開発・運用を進めている。具体例としては欧州連合の「ガリレオ」やロシアの「グロナス」、中国の「北斗」などがある。日本版のGPSにあたる「準天頂衛星システム」は2018年から4機で運用開始しているが、GPSと併用しなければ正確な位置情報を割り出せないうえ、対応製品が限られているのが現状だ。23年までに単独でのサービス提供を可能とする計画となっている。

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