毎月更新!時事コラム

第1750号(10月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「エリザベス女王の国葬費用は前例にないほど高額になる」(9月14日、米ニューヨークタイムズ紙)――特集記事で。英国のエリザベス女王の国葬にかかった費用が公表されていないと指摘したうえで、「相当な額になる」と予測した。過去の例を見てみると、2002年に実施されたエリザベス女王の母に当たるエリザベス王太后の葬儀では、国葬ではなかったにもかかわらず、セキュリティや公開安置などに少なくとも510万ポンド(約8.3億円)の費用がかかったという。同紙は「かかった経費はいずれ公開される。王太后の葬儀と異なり国葬であることや英国内で急激に進むインフレを考慮すれば、前例を大きく上回る金額になっているだろう」と見通した。なお、日本の安倍晋三元首相の国葬では総額16億円超の費用がかかると試算されている。

◆「俺は国税職員だから心配ない」(9月15日、詐欺罪に問われている元東京国税局職員の塚本晃平被告)――東京地裁の初公判で。持続化給付金の不正受給にかかわっていた証拠として検察側が読み上げた供述調書によると、「リスクはほとんどない」「国税の仕事上、あやしい話じゃないことは調査済みだ」などと話して幼なじみらを勧誘していたという。塚本被告は東京国税局の同期や大手証券会社の元社員らと組織的に不正受給を行っていたとして詐欺罪の罪に問われている。起訴内容については「間違いありません」と認めた。

◆「相続手続きのため区役所に50回は通った」(9月22日、タレントの梅宮アンナさん)――週刊誌のインタビューで。2019年に亡くなった父・梅宮辰夫さんの相続手続きについて、「遺言書がなかったため悲しみに暮れる暇がないほど忙しかった」と振り返った。不動産や預貯金、自動車など一家の資産のほとんどが辰夫さん名義だったことから、アンナさんは資産の分割や遺言書の作成といった相続の生前対策をするよう申し入れていたものの、辰夫さんは聞き入れなかったという。アンナさんは「凍結された銀行口座の手続きや携帯電話の解約などに必要な書類を集めなければならず、区役所には50回以上通いました」と忙殺された日々を思い返す一方で、「これほど父のことを考えて過ごしたのは相続が初めてだったので、かけがえのない時間にもなりました」と語った。

気になるニュースのキーワード

相続土地国庫帰属制度

 相続土地国庫帰属制度とは、相続で引き継いだが不要となった土地について、一定の条件のもとに国に引き取ってもらえる新制度だ。2023年4月27日にスタートする。制度開始前に相続した土地についても適用可能だ。
 新制度を活用するには、手放したい土地が国の定める基準を満たしているかどうか審査を受ける必要がある。建物が建っている土地や担保権が設定されている土地のほか、管理に過分な費用や労力がかかる土地などは引き取ってもらうことはできない。
 審査を通過して手放すことが決まったら一定の「負担金」を国に納める必要が生じる。負担金の額は未定だが、政令案によると原則として20万円となっており、市街地や農用地区にある宅地・田畑などでは面積に応じて加算するとしている。例えば市街地にある200㎡の宅地であれば約80万円となる見込みだ。
 新制度が設けられた背景には、全国で急増している「所有者不明土地」の問題がある。既存のルールでは相続登記が任意となっているため、相続人が固定資産税などの税負担や土地管理の煩わしさを避けて放置するケースが多発していた。結果として所有者が定まらないまま活用されずに荒廃した土地が全国で発生しており、民間調査によると所有者不明土地の面積は九州を上回り410万ヘクタールに達するという。

押さえておきたいIT用語

PPAP

 PPAPとは、電子メールでファイルを送る際に用いられるセキュリティ対策のひとつで、パスワード付きZIPファイル(圧縮ファイル)をメール送信した後に、別のメールでパスワードを送付する手法を指す。PPAPの語源は、「Password付きZIPファイルを送ります」「Passwordを送ります」「暗号化します(Angoka)」「Protocol(プロトコル=手順)」のそれぞれの頭文字となっている。
 手軽に利用できるため官公庁や企業などで幅広く活用されてきたが、セキュリティ対策としては不十分だ。まず、パスワードでロックをかけたファイルとパスワードそのものが同じネットワークを通じて送受信されるため、ファイルとパスワードが同時に盗まれて情報漏えいしてしまうリスクが高い。また、パスワードでロックがかけられたファイルはセキュリティソフトによるウイルスチェックをすり抜けてしまうことがあり、送信者がウイルスに感染していると受信者にも被害が拡大してしまうおそれもある。
 政府や企業ではPPAPの利用を取りやめる動きが進んでいる。政府は2020年にPPAPのやりとりを廃止する方針を出した。また電機大手の日立製作所では、21年から社内でPPAPの利用を禁じている。
 PPAPの代替策としては、チャットや電話などを併用してファイルとパスワードを別々の手段で伝える方法がある。また、ソフトウェア会社が提供するファイル共有サービス(クラウドストレージ)も活用できる。

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