毎月更新!時事コラム

第1749号(9月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「5万円給付で支持率を買うつもりか」(9月9日、俳優の谷原章介氏)――テレビ番組で。岸田文雄首相が住民税非課税世帯に対し1世帯当たり5万円を給付すると表明したことについて、「まるで国費で支持率を買おうとしているようだ」と批判した。住民税非課税世帯とは、前年の収入額が一定基準を下回り住民税の免除や国民健康保険料の軽減などを受けている世帯を指す。生活保護受給者や年金受給者も含まれており、厚生労働省の調査によると全世帯のうち23.3%を占めるという。給付にかかる総額9千億円の財源には国会の審議を通さない予備費が充てられる。谷原氏は「資産所得倍増計画はどこにいったのか。給付だけでなく自力で稼げるお金を増やせるような工夫をしてほしい」と訴えた。

◆「税金を使う理由について国はもっと説明すべき」(9月5日、タレントの武井壮氏)――テレビ番組で。安倍晋三元首相の国葬にかかる経費について、「政府は何に使うかだけでなく、どういう効果が社会にもたらされるのかしっかり説明すればいいと思いますね」と持論を述べた。政府は当初、国葬費用として約2.5億円を支出すると閣議決定していたが、このほど会場周辺の警備費や外国要人の接遇費を含めると総額は16.6億円に上るとの概算額を公表した。武井氏は「『税金を使うことは悪いこと』というイメージが持たれがちですが、使われた税金は我々の生活に返ってくるわけですから。例えばいろいろな国の要人が来てどれくらいの経済効果があるのかとか、そういったことも含めて国民に理解させるべきだと思いますね」と主張した。

◆「日野自動車の不正発覚は税収面でも痛い」(8月30日、東京都日野市の大坪冬彦市長)――記者会見で。日野自動車でエンジンの認証を巡る不正が発覚したことについて、「不正発覚の影響で業績が下向けば、日野市の税収もこれまで通りにいかなくなるだろう」と懸念した。3月に国内で生産する中大型トラック・バスのエンジンの排ガスや燃費などのデータ改ざんが明るみに出て、その後8月下旬には小型トラックでも不正が判明した。国内向けのほぼ全車が出荷停止に追い込まれている。大坪氏は「また車を売れる会社になってからお付き合いしたい。再生を見守る」とした。

気になるニュースのキーワード

下請法

 下請法は、取引上優位な発注事業者(親事業者)が下請け事業者に対して不当な要求をすることを禁じた法律だ。正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」。
 政府はこのほど、下請法の規制対象拡大に向けて調整に入った。これまで例外的に規制から外れていた資本金1千万円以下の親事業者に対し、新たに下請法を適用する方針だ。規制を広げることで、政府が「小規模事業者と取引が多い」とするフリーランスの保護や、兼業・副業の促進に繋げるという。
 公正取引委員会が書面調査や立入検査などを通じて発注者を監視し、禁止行為が明らかになると指導や勧告を行う。勧告を受けた事業者は公取委のホームページ上で公表される。
 同法では親事業者の禁止行為を定めている。規制対象となる代表的な行為としては、①下請事業者による納品を拒む「受領拒否」、②期日を過ぎても代金を支払わない「下請代金の支払い遅延」、③正当な理由なく代金を下げる「下請代金の減額」、④一度受け取ったモノを正当な理由なく返品する「不当返品」、⑤一般的な対価と比べて著しく低い代金を指定する「買い叩き」、⑥特定の物品やサービスを無理やり買わせる「購入強制・役務の利用強制」、⑦親会社の禁止行為を通報した下請事業者に対し取引上不当な扱いをする「報復行為」――などがある。

押さえておきたいIT用語

DDoS攻撃

 DDoS(ディードス)攻撃とは、攻撃対象の容量をはるかに超える膨大なデータを送り付けることによってネットワークやサーバーをパンクさせるサイバー攻撃のこと。ウェブサイトの閲覧不能やネットワーク遅延などの影響を引き起こす。このほど行政情報ポータルサイト「e-Gov」や地方税ポータルシステム「eLTAX」などで立て続けに発生したアクセス障害もDDoS攻撃によるものと見られている。
 DDoS攻撃の特徴は、あらかじめ乗っ取った大量のコンピューターを経由して攻撃を仕掛ける点にある。総務省によれば、数十万規模のコンピューターが乗っ取られてDDoS攻撃に悪用された事例もあるという。被害者は、それぞれは悪意のないコンピューターから攻撃を仕掛けられるため対抗措置を講じるのが難しい。
 中小企業での被害も報告されている。NTT東日本によると、「運営するECサイトがDDoS攻撃を受けてサイトがダウンして長期間販売ができなくなり、大きな損失に繋がった事例がある」という。
 DDoS攻撃を防ぐ手段としては、サイバーセキュリティ企業が提供する「DDoS対策ツール」の導入がある。DDoS対策ツールは通信料に応じた従量課金制が主流で、基本料金は数万円~数十万円まで幅広い。アクセス制限により、サイバー攻撃が多発している海外からのアクセスを遮断する方法もある。

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