毎月更新!時事コラム

第1748号(9月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「国葬費用は終わってから示す」(8月30日、松野博一官房長官)――記者会見で。安倍晋三元首相の国葬にかかる費用の総額について、「国葬後に精査してから示したい」と述べた。政府は会場設営費等として2022年度予算の一般予備費から約2.5億円を支出することを閣議決定している。しかし会場周辺の警備や国内外の要人接待にかかる経費は含まれておらず、一部報道によると過去の皇位継承式典関係費やG20大阪サミット開催費用などを踏まえると総額100億円超に上る可能性があるという。莫大な費用が見込まれるにもかかわらず説明が後回しにされている事態に野党から批判が相次いでおり、社民党の福島瑞穂党首は「事前に総額も積算も出さずに予備費扱いで事後報告にするなど、国会無視で財政民主主義に反する」と批判した。

◆「防衛費の増額の是非は有識者会議で検討していく」(8月30日、鈴木俊一財務相)――記者会見で。2023年度予算編成で大幅な増額が見込まれている防衛費について、「支出額や財源を議論する有識者会議の新設を検討している。国民的な議論を積み上げて理解と納得を得ていきたい」と話した。防衛費の大幅拡充は7月の参院選で大勝した自民党の公約だ。公約では、27年度までにNATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)を念頭に増やすとしている。21年度の防衛費は約5.3兆円、GDP比1.07%であり、公約実現には現状の倍の予算を割く必要がある。なお、内閣官房の有識者会議では、27年までに3倍に増額すべきとの意見も出ている。

◆「国税庁の飲酒キャンペーンの中止を求める」(8月26日、NPO法人アスクの今成知美代表)――9団体連名の要望書で。国税庁が酒類業界の活性化に繋がるとして開催している若者向けビジネスコンテスト「サケビバ!」について、「酒税目的で若者の飲酒需要を喚起すべきではない。若い世代の飲酒量が減っていることは健康上望ましく、医療費等の社会的損失の抑制にもなる」として中止を求めた。サケビバ!は、成人の飲酒量が30年間で3割減少するなど縮小傾向にある酒類業界の発展・振興に向けたアイディアを20歳以上39歳以下の若年層から募るもの。なお、運営事務局はパソナグループ子会社「パソナ農援隊」となっている。

気になるニュースのキーワード

登記情報提供サービス

 登記情報提供サービスは、法人の登記情報をインターネット上で閲覧できる有料サービスだ。法務省からの委託を受けて民事法務協会が運営している。閲覧できる資料は大きく分けて、①不動産登記情報(全部事項)、②不動産登記事項(所有者事項)、③地図情報、④図面情報、⑤商業・法人登記情報、⑥動産譲渡登記事項概要ファイル情報・債権譲渡登記事項概要ファイル情報――の6種類だ。利用料金は1件当たり141円~362円となっている。資料はPDFファイルで提供される。なお、法務局で取得できる法人の現在事項証明書や登記事項要約書は閲覧できない。
 今年2月、商業・法人登記情報に記載されている代表者・役員の住所について、同サービス上では一律で非表示にするとの省令案が公表された。法制審議会や経済界から「代表者や役員の個人情報を保護すべき」との指摘を受けて提出された案だったが、パブリックコメントで「詐欺的な人物等が関与する企業との取引を排除するには必要」「政府が提唱するデジタル化の施策と逆行し、紙ベースの情報に依存することになりかねない」などと反対意見が続出したことを受けて取り下げられ、従来通り表示されることとなった。施行直前の省令案が変更されたのは異例だ。

押さえておきたいIT用語

SIMカード

 SIMカードとは、スマートフォンやタブレットなどの通信デバイスに挿入するカード状の集積回路で、識別番号や電話番号、メールアドレスといった契約者の識別情報が記録されているものを指す。通信デバイスにSIMカードを挿入することで、①音声通話、②データ通信(インターネット)、③ショートメール――の3つの機能が使えるようになる。すべての機能を利用できる「音声通話SIM」やインターネット通信のみ行える「データSIM」など、用途によって使い分けることも可能だ。
 基本的にはスマートフォンやタブレットにSIMカードを入れれば通信できるようになるが、大手携帯電話会社の端末では他社契約のSIMカードが使えない「SIMロック」が設定されている。仮にドコモのスマートフォンでSIMロックが設定されていると、ソフトバンクのSIMカードを挿入しても通話やデータ通信は行えない。
 かつてはSIMロックがかかった端末に他社のSIMカードを挿入して利用することはできなかったが、中古端末が普及したことなどを受け、現在は携帯電話会社に申し出ればSIMロックを解除できるようになっている。例えばドコモだと、原則として2015年5月以降に購入した端末であれば無料で手続き可能だ。
 近年は大手3社の通常料金よりも安く利用できる「格安SIM」というサービスも普及している。

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