毎月更新!時事コラム

第1746号(8月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「国葬は税金で実施する以上、法的根拠を明確にすべき」(7月22日、立憲民主党の泉健太代表)――記者会見で。内閣府設置法を根拠に安倍晋三元首相の「国葬」が閣議決定されたことについて、「なんとでも解釈できる内閣府設置法では法的根拠にならない」と批判した。内閣府設置法は、国の儀式に関する事務について内閣府が所管すると定めているものの、国葬の形式や対象者については具体的に示していない。野党からは「国会で何らかの基準を作るべきだ」との指摘が相次いでいるが、自民党の高木毅国対委員長は「国葬について立法府で議論するのはなじまない」との見解を示している。なお、戦後唯一の前例となる1967年の吉田茂元首相の国葬実施も閣議で決まっており、当時も同様の批判が上がっていた。

◆「GXの財源確保はあらたな税負担で賄う」(7月27日、山口壯環境大臣)――内閣官房の第1回GX実行会議で。脱炭素社会の実現(グリーントランスフォーメーション=GX)にかかる財源について、「東日本大震災の復興債に似たかたちになる」との見通しを示した。政府は今後10年間に官民共同で約150兆円を投資するとしており、このうち17兆円は「GX経済移行債」と名付けた国債の発行を予定している。山口氏は、25年間にわたって所得税に上乗せされる「復興特別所得税」により賄われている復興債のように、GX経済移行債も長期的に国民の税負担を求めていく可能性があるとした。

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手形交換所

 手形交換所とは、金融機関が取引先企業から受け入れた他行払いの手形を持ち寄り、金融機関同士で差額分の決済(手形交換)を行う機関のこと。各地の銀行協会や金融団体が参加金融機関の審査、手形交換の範囲、決済の方法などをルール化し運営している。約束手形を振り出した企業が6カ月に2回支払い不能に陥った場合に実質的な倒産状態とみなす「銀行取引停止処分制度」の運用も担っている。
 手形交換所は手形の円滑な流通を支えてきたが、政府の要請を受けて今年11月2日に廃止されることが決まった。政府は昨年、デジタル社会の実現に向けて2026年までに紙の約束手形を廃止する目標を掲げており、今年3月には金融界に協力を求める方針を打ち出していた。
 全国銀行協会が7月に新設した「電子交換所」が手形交換所の役割を引き継ぐ。従来は手形交換所を経由して手形の現物が各金融機関に搬送されていたが、今後はデータ化して電子交換所に送信する仕組みに変わる。電子交換所の稼働開始予定日は11月4日となっている。
 手形のデータ化は各金融機関が行うため、各企業に手続きの変更は生じない。しかし、これまで各地域の手形交換所別に管理されていた銀行取引停止処分や不渡手形といった企業の信用情報について、これからは電子交換所に参加する全国すべての金融機関で共有されるようになる。

押さえておきたいIT用語

アバター

 アバターとは、不特定多数の人が参加するオンラインゲームやVR(仮想現実)サービス、SNSなどのシステム内部で各利用者に紐づけられているキャラクターを指す。利用者はアバターを自分の分身として操作し、インターネット上の仮想空間で自由に移動や会話を楽しむことができる。アバターが活用されている例としては、他の利用者とミニゲームで遊べるSNSサイト「アメーバブログ」や、仮想空間内でDIYや商売を疑似体験できるゲームソフト「どうぶつの森シリーズ」などがある。
 利用者はシステム上にあらかじめ複数用意されている体形や髪型、顔などのデータを選択し、好みの風貌のアバターを作成する。人間だけでなくロボットや動物を選べるようになっているサービスや、スマホのカメラ機能を活用して現実の容姿を立体的に再現できるものもある。
 米メタ社は6月、フェイスブックやインスタグラムで利用できるアバター用アパレルショップ「Meta Avatars Store」の開店を発表した。バレンシアガやプラダなど、有名アパレルブランドとコラボした商品を順次そろえていくという。マーク・ザッカーバーグCEOは、「アバター用のデジタルグッズはいまや自己表現の重要な手段となっている」としている。
 なお、アバターは1人が複数登録することも可能なため、必ずしも個人を特定できないという欠点がある。

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