毎月更新!時事コラム

第1743号(7月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「消費税に頼り切らずに国の仕事をちゃんとしてほしい」(7月6日、タレントの大竹まこと氏)――ラジオ番組で。国の税収のうち消費税収が3割を超え最大になっていることについて、「所得税や法人税が少なくなっていて、低所得の人に負担が大きい消費税が一番大きくなっている。これは所得の再分配ができていないってことだよね」と指摘した。財務省の発表によると、昨年の税収は67兆379億円と過去最高に達し、そのうち消費税が21兆8886億円で全体の32.6%を占めて過去最多、次いで所得税の21兆3822億円、法人税は13兆6428億円だった。大竹氏はウクライナ情勢や円安の影響による物価の上昇に言及し、「物価が上がったら消費税の負担はさらに増える。所得の低い人に負担が大きくならないようにするのが国の仕事じゃないのかい」と消費税収が多額を占めている現状を批判した。

◆「インボイス制度には看過しがたい懸念が3つある」(7月5日、日本アニメーター・演出協会)――ホームページ上の意見表明で。2023年10月から始まるインボイス制度について、①インボイスの保存義務などによりクリエイターに過度の事務負担が生じる、②軽減税率を前提とするインボイス制度は税の公平に反する、③制作会社の多くは課税事業者か否かにかかわらずクリエイターと取引継続せざるを得ず、仕入税額控除が受けられなくなればアニメ制作の現場環境を悪化させる―の3点の懸念があるとして反対声明を出した。

◆「はずれ馬券の経費化を認めた方が国は儲かる」(6月27日、お笑いタレントのじゃい氏)――ユーチューブで。巨額の追徴課税について不服申し立てを行った理由として、「はずれ馬券を経費化すべきというのは何年も前から言われてきたこと。自分が声を上げようと思った」と話した。じゃい氏は熱心な競馬ファンとして知られ、一昨年には6400万円の払い戻しを受けるなど多額の収益を挙げてきたが、経費計上していたはずれ馬券が税務調査で否認され、「数千万円の追徴課税を受け、納められずに自己破産した」という。じゃい氏は「いっぱい馬券を買って売上に貢献してきた自分は、国にとって本来一番大事にすべきお客さんのはずです。こんな仕打ちはひどい」と持論を展開した。

気になるニュースのキーワード

クラウドファンディング

 クラウドファンディング(クラファン)とは、英語のクラウド(群衆)とファンディング(資金調達)を組み合わせた用語で、なんらかの目的を掲げて資金を募る人に対し、不特定多数の人々がインターネットを経由して資金提供する仕組みだ。
 国内では2011年の東日本大震災をきっかけにクラファンの認知度が上がり、さらにコロナ禍で利用が広がった。矢野経済研究所の調査によると、15年度に379億1700万円だった市場規模は、コロナ禍が直撃した20年度に5倍となる1841億7700万円に達し、過去最高を記録した。コロナ禍の影響が深刻な医療機関や飲食店と言った業種を中心に活用が進み、金銭的に余裕のある人からは支援の申し出が相次いだ。
 資金の集め方にはいくつかのパターンがあり、出資者に対して商品やサービスなどの見返り(リターン)を提供する「購入型」と、出資者に対してリターン不要な「寄付型」の2つが主流となっている。資金の集め方によって収益計上のタイミングなど会計処理が変わる。
 クラファン大手のキャンプファイヤーによると、コロナ禍を理由に資金を募った事業者の平均調達額は約200万円で、数千万円を集めるケースもある。6月には世界遺産の法隆寺がコロナ禍で参拝客が激減したことを理由に維持管理や警備などに充てる費用を集める目的でクラファンを活用し、約1週間で1億円を集めて話題になった。

押さえておきたいIT用語

ターゲティング広告

 ターゲティング広告とは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのデジタル製品利用者の検索履歴や位置情報、行動履歴などを分析し、興味関心の高いものを表示する広告手法のこと。例えば、普段からインターネットを活用して税務・会計について調べている人には会計ソフトの広告が、スポーツについて検索している人には健康食品の広告などがウェブサイト上に表示されやすくなる。
 ターゲティング広告のメリットとして、利用者にとっては興味の薄い広告を目にしなくて済むようになり、関心ある広告に接する機会が増えることなどが挙げられる。また広告主にとっては、自社製品に関心の高い層にアプローチできるため、広告効果の向上を狙える。
 利用者と広告主にメリットがある一方、現状は利用者の同意がないまま閲覧履歴が広告会社に送信されており、プライバシーの侵害に繋がる恐れが指摘されている。すでに欧米では規制が進む。日本でも6月にターゲティング広告を規制する「改正電気通信事業法」が成立し、外部に情報提供する場合にあらかじめ利用者に通知する、もしくはサイトやアプリ内で公表するよう義務付けることとなった。通知や公表の具体的な方法は今後決定する。
 なお、規制が進む欧米諸国では利用者の同意を義務付けている。

お問合せ

三重県伊勢市の「税理士法人 あおぞら」では、
起業・独立支援、税金・記帳・会計や
経営計画・資金繰りなどの
会計業務、
相続・事業継承や資産運用・老後資金などの
ご相談に応じております。