毎月更新!時事コラム

第1742号(7月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「マイナンバーカードの普及率を地方交付税の算定に活用する」(6月19日、金子恭之総務大臣)――記者会見で。地方団体間の収入格差の是正を目的に国が分配する「地方交付税」の算定について、「来年度からはマイナンバーカードの交付率を反映させるよう検討する」との意向を示した。政府はデジタル社会の実現を見据えマイナンバーカードを来年3月末までに「ほぼすべての国民に行き渡らせる」ことを目標としているが、6月時点の交付率は45%程度にとどまっている。カードの普及と地方団体の財源である地方交付税を連動させることには各界から不安の声も上がっており、自治労連の石川敏明書記長は「カード普及に財源を投入した自治体に多くの交付金が配分されるため、税に求められる所得再分配などの公平性を歪める」と批判した。

◆「実家の維持費に1800万円かかった」(6月20日、タレントの松本明子氏)――テレビ番組で。親元を離れて暮らす人の実家との向き合い方をテーマにした特集で、「空き家になっていた実家の維持費が気づいたら莫大になっていた。25年分の固定資産税や火災保険、地震保険、光熱費でトータル1800万円くらいかかったかな」と告白した。松本さんは中学校卒業後に上京して以降は東京で暮らし続けている。両親が亡くなってから実家は空き家の状態が続いていたが、父親が生前に「明子、実家を頼む」と言っていたのが頭に残っており処分できなかったという。このほど大学生の子どもの就職先が決まり、「将来的に家族が香川に戻らないという見通しが立ち、ようやく処分する決意が固まりました」と語った。

◆「パパ活議員のボーナス受給にはノーコメント」(6月30日、内閣官房副長官の磯崎仁彦氏)――記者会見で。18歳の女子大学生との飲酒が取り沙汰されている元自民党・吉川赳衆院議員に約290万円の期末手当が支給されたことについて、「コメントする立場にない」と述べるに留めた。吉川氏は問題発覚直後に自民党を離党してから公の場に姿をあらわさず、与野党から議員としての説明責任を果たしていないと批判されている。立憲民主党は6月15日に吉川氏の議員辞職勧告決議案を衆院に提出したが、自民党は「事実関係が確認できていない」と採決を見送っていた。

気になるニュースのキーワード

宿泊税

 宿泊税とは、ホテルや旅館、民泊といった宿泊施設の利用者に課される地方税のこと。観光振興策の税源確保などを目的に、東京都や大阪府、京都市、北九州市など8つの地方自治体で設けられている。来年4月からは長崎市でも新設されることが決まった。
 宿泊税は、条例の策定や総務大臣の同意を条件に地方自治体が独自に新設できる。自治体ごとに税額や税率が異なり、例えば宿泊税を2002年に全国で初めて導入した東京都では、宿泊料金が1人1泊1万円以上だと100円、1万5000円以上なら200円が課される。金額が最も高いのは京都市で、1人1泊5万円以上で最大1000円に上る。そのほか、北九州市では宿泊料金にかかわらず定額200円、北海道・倶知安町では定率2%などとなっている。
 宿泊税の納税義務者は負担者である宿泊者だが、ホテルや旅館、民泊といった宿泊施設の事業者が「特別徴収義務者」として代わって納めなければならない。ホテルや旅館は特別徴収義務者になるために自治体への登録が必要となる。宿泊者は宿泊料金に納税額を上乗せして請求されるため、自分で申告する必要はない。
 長崎市議会は今年3月に宿泊税の条例案を可決し、6月には総務大臣の許可を得て来年4月1日からの導入を決めた。宿泊料金に応じて100円~500円の税金を課すことにより、年間約4億円の税収を確保する見通しとなっている。

押さえておきたいIT用語

IT導入支援事業者

 IT導入支援事業者とは、中小企業のデジタル化を支援する「IT導入補助金」の事務局の登録を受け、申請者のサポートする事業者のこと。導入するITツールの選定や事業計画の策定、購入、運用といった一連の手続きをサポートする。申請者はIT導入支援事業者を介さなければ同補助金を申請できない。
 登録を受けている事業者は、ビジネス用ソフトウェアやクラウドサービスの販売会社や開発会社が中心だ。単一の会社の製品のみを取り扱う「シングルベンダー」や複数の会社の製品を揃える「マルチベンダー」などがある。会計ソフトの開発会社も名を連ねている。
 IT導入支援事業者の役割には、①自社製品や取扱製品などのITツールを事務局に登録する、②申請者に対して①で登録したITツールの提案や導入、アフターフォローを実施する、③補助金に関する申請者からの問い合わせに対応する、④申請者による補助金の不正受給等の違法行為を防止するための管理・監督を行う、⑤ITツールの導入後、申請者の生産性向上効果を最大限引き出すよう支援する――などがある。
 IT導入支援事業者は、ITツールの販売実績や経営状況などをもとに事務局の審査を経て登録する。2022年は6月30日時点で4353者が登録している。

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