毎月更新!時事コラム
最近の税に関するコトバ集
◆「税務調査のせいでイメージが下がった」(6月12日、落語家の笑福亭鶴瓶氏)――ラジオ番組で。東京国税局の税務職員が持続化給付金を詐取していた事件を取り上げ、「俺らの税金はごまかしてないかどうかめっちゃ調査するくせに」と皮肉った。鶴瓶氏は過去、確定申告で提出した領収書が本物かどうか疑われ、税務調査を受けた経験があるという。「そんな誤魔化しかたせえへんと誠心誠意説明した」(鶴瓶氏)ものの税務職員の納得は得られず、領収書の真偽を確かめるために行きつけの店に反面調査に入られてしまった。税務調査は税金が正しく納められているかチェックするために必要な仕組みと認めつつも、「当たり前のように調べにいくなっちゅうんですよ。俺の信用がなくなる」と苦言を呈し、もっと納税者に配慮して調査するよう求めた。
◆「消費税が使われるのは社会保障だけ」(6月19日、自民党の高市早苗政調会長)――NHKの「日曜討論」で。法人減税の穴埋めのために大衆課税の消費税が引き上げられていると主張した野党議員に対し、「消費税の使途は法律上、社会保障に限定されている」と反論した。高市氏が主張する通り、消費税法第一条では、年金や介護といった社会保障給付や少子化対策の施策に充てるよう定められている。しかし、消費税は一定の目的に限って使われる「特定財源」ではなく、所得税や法人税と同じようにすべての歳出予算に充当可能な「一般財源」となっていることから、SNS上では「実質的に穴埋めになっていると考えるのが自然だ」と批判が相次いだ。
◆「消費減税の公約はいかがなものか」(6月20日、経団連の十倉雅和会長)――記者会見で。参議院議員選挙の公約として消費減税を掲げる野党に対して苦言を呈した。野党はウクライナ情勢や円安の影響を受けて深刻化している物価高騰対策として消費税減税を打ち出している。「時限的消費税減税法案」を衆院に共同提出した立民や共産、れいわ、社民の4党は、一時的に消費税率を5%まで引き下げる方針で一致している。また、維新も参院選の公約として消費減税を掲げた。一方、十倉氏は物価高騰対策としての消費減税の効果に疑問を呈したうえで、代案として「来年以降も賃金を上げていく仕組みづくりが必要だ」と賃上げ政策の強化を訴えた。
気になるニュースのキーワード
配偶者控除
配偶者控除とは、配偶者の収入が一定額以下のときに、もう一方の配偶者が適用できる所得控除のこと。例えば妻の給与収入が103万円以下であれば、夫の所得から原則として38万円を控除できる。
配偶者控除は1961年度税制改正で導入された。導入の背景には、家族に対する給与を経費計上可能な共働きの自営業世帯と、夫に給与所得が集中する専業主婦世帯の公平性の確保などが挙げられている。一方で課題として、パートで働く妻の給与収入が103万円を超えると配偶者控除が受けられず、かえって税引き後の手取り収入が減る「103万円の壁」が問題視されていた。
女性の就労促進の妨げになる103万円の壁の撤廃のため、1988年には「配偶者特別控除」が新設された。配偶者特別控除では、配偶者の給与収入が103万円を超えても所得控除が受けられるようになり、控除額は夫婦それぞれの収入に応じて段階的に減らされる仕組みとなっている。
2012年に発足した第2次安倍内閣以降は、依然として配偶者控除が女性の就労促進の妨げになっているとして、政府税制調査会などで廃止を含めた抜本的な見直しが検討されている。6月14日に閣議決定した2022年版男女共同参画白書では、「さまざまな政策や制度が戦後の高度成長期のままとなっている」として、配偶者控除の見直しを進めていく方針が改めて示された。世帯単位ではなく個人単位での制度設計にすべきだとしている。
押さえておきたいIT用語
eラーニング
eラーニングとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの情報機器を活用し、インターネット上で学習できるようにする仕組みのこと。「教育IT」「オンライン学習」と呼ばれることもある。企業や学校、塾など特定の場所に受講者が集合して行うリアルな教育と異なり、eラーニングでは時間や場所にとらわれずに受講できる特徴がある。コロナ禍で人の接触や外出が敬遠されたなか、企業研修や学校教育で普及が進んだ。
eラーニング専門企業のデジタル・ナレッジによると、企業向けに提供されているeラーニングは主に、①ビジネスマナーやロジカルシンキングなどを学ぶ「新入社員向け講座」、②マネジメントや経営分析の知見を深める「リーダー向け講座」、③財務や営業、コンプライアンスなど職種に必要な知識を身に着ける「分野別講座」、④簿記などの資格取得を目的とする「資格系講座」――の4種類に分類される。
企業がeラーニングを導入するメリットとしては、ウェブテストの成績や受講者の学習進捗状況がネット上で一元管理できる点や、集合教育と比較して準備時間や費用などのコストを抑えられる点が挙げられる。
一方、モノづくりや対人スキルといった実技を伴う研修は難しいという課題もある。