毎月更新!時事コラム

第1740号(6月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「税のさまざまな論点について野党で歩み寄れた」(6月10日、立憲民主党の小川淳也政調会長)――記者会見で。消費税の減税やインボイス制度の廃止などを盛り込んだ「時限的消費税減税法案」を立民や共産、れいわ、社民の野党4党でとりまとめ衆院に提出したことを報告し、「参院選を前に野党内で共通目標を見いだせた」と成果を話した。同法案の提出にあたり、インボイス制度や金融所得課税など近年注目を浴びているさまざまな税制について意見を交換し、合意可能な政策として意見が一致したという。同法案では消費税率を一時的に5%まで引き下げる特例の新設や所得税の累進性の拡大、法人税の応能負担の推進などが盛り込まれている。

◆「持続化給付金の不正受給の7割が20代以下だ」(6月10日、警察庁)――調査結果の公表資料で。持続化給付金の不正受給者の年齢構成についてはじめて集計し、5月末時点の不正受給者3370人のうち20代以下が68%と多くを占めていることを公表した。若者が多くの不正受給に関与した理由について警察庁は「SNSを通じて安易に加担したケースが多い」と指摘した。他の年代を見てみると、多い順に30代14%、40代8%、50代5%、60代以上5%となっており、年齢が高いほど不正受給者が少ない。持続化給付金はコロナ禍の影響で売上が落ち込んだ事業者を対象に最大200万円を支援する制度で、全国で約5.5兆円が支給された。5月までに3315件が摘発され被害総額は約32億8500万円に上っている。

◆「消費税廃止は経済回復に効果なし」(6月2日、小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長)――日経新聞のインタビューで。経済回復に向けた施策として消費税廃止を求める声が上がっていることについて、「本質的な解決策にはならない」と主張した。消費税が廃止されれば家計に一定の余裕が生まれることは認めつつも、「低所得者にしてみれば、所得が低い状態に変わりはない」と指摘し、経済回復に向けた効果は限定的だとした。アトキンソン氏は経済が低迷している理由について「日本人にお金が足りなくなったからとする説が根強いが、真の問題は人が減ったことだ」と分析し、解決策として積極財政による新たな商品・サービス開発の促進を挙げた。

気になるニュースのキーワード

四半期報告書

 四半期報告書とは、投資家の判断材料とすることを目的に、政府が上場企業約4000社に対して3カ月ごとの提出を義務付けている報告書のこと。四半期決算の詳細や事業の近況、企業情報などを開示する。企業の事務負担軽減のため、金融庁は2023年の法改正で四半期報告書を見直す方針を固めている。
 四半期報告書は、投資環境の整備を目的とする金融商品取引法上で規定されている。2006年6月に法制化され、08年4月に施行された。法制化の背景には、06年のライブドア事件の中で発覚した四半期報告書の虚偽記載について、当時の法律では責任を問えなかったことがある。
 四半期報告書の廃止後は、証券取引所規則に基づき決算の概要を公表する「決算短信」へ一本化される見込みだ。決算短信は企業の財務や経営状態などの要点をまとめた書類で、通期や四半期の決算終了後1~2カ月後を目安に発表するもの。かねてより市場関係者からは四半期報告書と決算短信の内容重複が指摘されており、一本化による事務負担の軽減が期待されている。
 岸田文雄首相は昨秋の自民党総裁選から掲げている「新しい資本主義」の施策の一つとして四半期開示の廃止を掲げてきたが、海外の投資家から「開示姿勢の後退と受け取れる」などの批判が相次いだことを受け、決算短信への一本化で決着した。

押さえておきたいIT用語

生体認証

 生体認証とは、顔や指紋などの生体情報を使って本人を識別するシステムのこと。スマートフォンやパソコン、銀行のATM、オフィスの入退館管理などで導入が進んでいる。センサーで指紋を読み取る「指紋認証」や目・鼻の位置など顔の特徴から区別する「顔認証」などさまざまな種類がある。
 生体認証の種類ごとの特徴に応じて活用が進んでいる。たとえば顔認証はカメラに顔を寄せるだけで済み手軽かつ衛生的なため、ライブ会場や空港の入退場口など不特定多数の人々が出入りする場所で利用されている。また血管の形で識別する静脈認証は、ヒトの体内の情報を利用するため他の認証方法と比較してデータの盗難にあいにくいという特徴があり、銀行のATMなどで取り入れられている。古くから使われている指紋認証は導入コストが低く抑えられることから、スマホやパソコンのロック機能など幅広く導入されている。
 生体認証を活用するメリットとしては、身体的な特徴を利用して本人確認を行うため紛失のリスクがない分、パスワードを用いた認証方法よりもセキュリティ上の安全性が高いことが挙げられる。
 一方デメリットとしては、登録データの変更・管理といった事務作業や専用装置等の維持にかかるコスト負担が挙げられる。三菱UFJ銀行は利用者数の減少により費用対効果が見込めないとして、来春にもATMの静脈認証を廃止する方針を固めている。

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