毎月更新!時事コラム

第1739号(6月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「『親ガチャ』是正に市税を投入する」(5月23日、三重県伊勢市の鈴木健一市長)――記者会見で。低所得の子育て世帯の中学生を対象に学習塾の利用費用を助成する事業を開始すると発表し、「家庭環境による教育格差を埋めるのが市の役割と考えている」と説明した。生活保護受給世帯や住民税非課税世帯、就学援助受給世帯に対し年間最大10万円を補助するという。文部科学省の調査によると、塾に通っている子どもの割合は、小学校では公立39.1%、私立75.1%、中学校では公立69.3%、私立60.3%、高等学校では公立37.8%、私立38.2%に上っている。また、学習塾費の年間支出金額では「40万円以上」とする層が最も多い。鈴木市長は「生まれた境遇で人生が左右される『親ガチャ』という言葉が流行るなか、同事業を通じて改善していく方法を模索していく」とした。

◆「固定資産税のミスは構造的な問題だ」(5月27日、兵庫県加東市の岩根正市長)――記者会見で。固定資産税や後期高齢者医療保険料などの事務処理を巡り、兵庫県加東市で2021年以降に842件のミスがあったことについて、「担当者個人ではなく市の体制に課題があった」と説明した。岩根氏によると、一部の担当職員への業務の偏りや、業務未経験者へのフォロー体制の不備が影響したという。固定資産税ではデータ入力のミスにより徴収額の過不足が相次いだ。また、後期高齢者医療保険料については、業務未経験者の担当者へのフォローがなく未処理件数が最大776件に上った。岩根氏は「チェック体制を見直し再発防止に努める」としている。

◆「反日プロバガンダに市税を出せとはとんでもない判決」(5月30日、名古屋市の河村たかし市長)――記者会見で。2019年に開催された芸術イベント「あいちトリエンナーレ」を巡り市に負担金の支払いを命じた名古屋地裁の判決について「控訴しないことはありえない」と争う姿勢を表明した。同イベントは愛知県の大村秀章知事が実行委員会の会長、河村市長が会長代行を務め、県と市が開催費用の負担金を支出してきた。しかし19年の企画展「表現の不自由展」で昭和天皇の肖像を燃やす映像作品などが展示されたことに河村市長が反発し、市の負担金1億7000万円のうち未執行だった約3300万円の支払いを拒否している。

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グループ補助金

 グループ補助金は、地震や台風などの被害が深刻な地域の中小企業に適用される支援制度だ。被災地域の中小企業2社以上が集まって事業継続に必要な施設や設備を復旧すると、国と県から費用の4分の3、最大15億円を受給できる。2011年の東日本大震災をきっかけに導入された。激甚災害法上の「本激」に指定された災害が対象で、16年の熊本地震や18年の西日本豪雨、19年の台風19号豪雨で適用された。昨年2月と今年3月に発生した福島県沖地震はともに本激にあたらず対象外とされていたものの、度重なる災害に見舞われたことへの配慮から特例として適用が決まった。
 福島県沖地震への適用に伴い、グループ補助金による支援制度が拡充された。まず、東日本大震災での被災やコロナ禍の影響を受けているなど一定の条件を満たす場合に補助率100%で支給される上限5億円の「定額補助」の対象者として、あらたに債務超過や繰越欠損など「厳しい債務状況の事業者」が追加された。
 また、被災時に受け取れる保険金や共済金の控除方法も、受給者にとって有利に変更された。これまでは復旧費用から保険金を差し引いた残金をベースに4分の3が補助されたが、今後は復旧費用全体の4分の3が補助されるようになる。
 さらに、防災や減災を目的とする改良・補強工事が新たに補助金の対象となった。

押さえておきたいIT用語

BaaS

 BaaSとはBanking as a Serviceの略語で、為替や預金、融資など金融機関が提供しているサービスを金融機関以外の事業者が自社サービスの一部に組み込んで利用できるようにする仕組みを指す。具体例としては、スマートフォンを通じて送金や決済が行える「PayPay」や、通販サイトで購入した商品を受け取ってからインターネットを通じて後払いできる通販サイトZOZOTOWNの「ツケ払い機能」、店頭での支払いを複数人で分割可能なLINE Payの「割り勘機能」など、金融機関の窓口を介さなくても事業者のアプリ上で金融サービスを受けられる仕組みなどが挙げられる。
 BaaSの活用により、様々な事業者でキャッシュレスや後払いなどの決済の仕組みが導入しやすくなる。例えばこれまで紙の口座振替依頼書により徴収していた会費や月謝をキャッシュレス決済によりペーパーレスで受け取れるようになる。また、分割払いや後払いといった金融サービスを自社のシステム上で提供可能になる。
 金融機関にとっては、システム提供先となる事業者のユーザーに口座開設を促せるというメリットがある。利用者はウェブサイトやアプリ上で金融サービスが受けられるため、金融機関で引き落とすなどの手間が省ける。
 BaaSの導入は、2018年の改正銀行法施行で金融機関によるシステム公開や外部事業者とのデータ連携が促されたことをきっかけに広がった。

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