毎月更新!時事コラム

第1737号(5月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「自動車税の負担の重さが若年層の車離れの一因だ」(5月13日、愛知県の大村秀章知事)――記者会見で。5月末に納付期限を迎える自動車税について「負担が重い」と訴える声がSNS上などで相次いでいることについて、「ガソリン価格が上がり、若い方から負担の重さを懸念する声が出ているのだろう」との見解を示した。愛知県内の乗用車の保有台数は421万台を超え、全国1位となっている。大村氏は「負担の軽減を求める声が盛り上がってくるのであれば、県としてしっかり対応したい。若い世代の車離れは、日本の自動車産業にとって由々しき事態だ」と指摘した。大村氏によると、愛知県は2011年から毎年、自動車利用者の税負担軽減を国に要望しているという。

◆「税金で報酬を頂いていることを謙虚に受け止めるべき」(5月11日、日本維新の会の藤田文武幹事長)――記者会見で。自民党の細田博之衆院議長が前日の自民党参院議員のパーティーで「手取り月給が100万円未満の国会議員を多少増やしても罰は当たらない」と話したことについて、「税金で生活しているものとしてあり得ない発言だ」と指摘した。細田氏の発言は他の野党議員からも批判が相次いでおり、立憲民主党の泉健太代表が「議会や国民を混乱させるような発言は慎んでほしい」と求めたほか、国民民主党の古川元久国対委員長は「品格に関わる」と指摘した。公明党の石井啓一幹事長によると、細田氏は翌日の懇談で「今後は立場を自覚して発言を控える」と語ったという。

◆「党員による税金の詐取をお詫びする」(5月9日、立憲民主党の西村智奈美幹事長)――ツイッターで。現職議員に成り済まし、東海道新幹線のグリーン券を詐取した疑いで逮捕された元参院議員で立民岐阜県連の常任顧問・山下八洲夫容疑者について、「断じて許されるものではない。全額を弁済することは当然だ」とした。山下容疑者は4月27日、偽造した国会議員用の申込書を東京駅の駅員に提出し、東京・名古屋間の東海道新幹線の特急券やグリーン券をだまし取った疑いが持たれている。山下容疑者は「これまでの経験でバレないと思った」などと供述しているといい、余罪を含めて捜査が続けられている。立民は山下容疑者を県連の常任顧問から解任し、党から除籍した。

気になるニュースのキーワード

外貨建保険

 外貨建保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金を受け取る仕組みの生命保険商品のことを指す。払い込んだ保険料は外国債券などにより運用されるため、保険でありながら運用実績や為替相場の変動などにより損益が発生する特徴がある。国内の金利が低位にとどまり続ける中、外貨による利回りが期待できるとして外貨建保険の販売額は2010年代に急伸した。しかし近年は、相場・為替変動による元本割れのリスクや早期解約のペナルティー手数料の発生といった重要事項の説明が不十分だったとして契約者が代理店に苦情を申し立てる事例が相次いでおり、国や業界団体が対応に乗り出している。
 生命保険協会のデータによると、銀行等代理店で発生した外貨建保険契約に関する苦情の件数は調査を開始した2012年度の597件から年々増加し、19年には2822件に上っている。また、金融庁の21年の調査によれば、外貨建保険の運用の結果として、全体の4割の契約者の含み損益が赤字に陥っているという。
 こうした状況を受けて金融庁は17年、金融機関に対して勧誘時のモラル順守を求める「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表した。生命保険協会は募集人のリテラシー向上を促すため「外貨建保険販売資格試験」を創設し、今年4月以降は有資格者でなければ外貨建保険を販売できないよう制度変更した。

押さえておきたいIT用語

ボット(BOT)

 ボット(BOT)とは、コンピューター上の処理を自動化するプログラムを指す。身近な例としては、パソコン上のスケジュール通知機能やスマートフォンのアラーム機能などが挙げられる。近年、世論の誘導を狙った偽情報の拡散やフォロワー数の水増し、アカウントの乗っ取りなど、SNS上でスパムボットが悪用される事例が増えている。米大手SNS・ツイッター社の買収を決めた起業家のイーロン・マスク氏は、「買収後にスパムボットを滅ぼす」と表明している。
 セキュリティー企業の米インパーバの調べによると、2020年のインターネット通信のうち、ボットによる通信の占める割合は5年間で7ポイント上昇し、26%に上った。SNS上で大量生成された「ボットアカウント」により、政治的発言や商業広告などを行う特定のアカウントのフォロワー数を水増しし、実態よりも支持者が多いと見せかける手法などが目立っているという。また、ボットによりパスワード入力を自動化し他人のアカウントを乗っ取るケースもある。
 近年取り沙汰されることが多くなったゲーム機やスニーカーなどの「高額転売」の手段としてもボットが悪用されている。ボットによりECサイトの商品が自動で買い占められ、不相当に商品の市場価格が吊り上げられる事例が相次いでいる。

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