毎月更新!時事コラム

第1822号(2024年10月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「物価高で苦しんでいるから税収が増える。じつに皮肉な結果となりました」(9月21日、池上彰氏)――テレビ朝日の番組「池上彰のニュースそうだったのか!!」で。池上氏は「私たちが国に納めた税金が、2023年度なんと過去最高となりました。その金額72兆円以上。4年連続で過去最高を記録しているんです。あまりうれしくない過去最高ですが、一体なぜでしょうか」と問題提起。その理由のひとつは「物価の上昇です」とし、「その結果消費税収入が増えたんです。物価高で苦しんでいるから税収が増える。じつに皮肉な結果となりました」と解説した。

◆「少子化を悪化させかねない。世も末だ」(9月22日、丸山達也島根県知事)――共同通信のインタビューに応じて。経団連が税制改正に関する提言のなかで、社会保障制度の維持のための財源として消費税率の引き上げを「有力な選択肢の一つ」としたことに対して、丸山知事は「中間層を疲弊させ、実質所得を下げていく」と反発。消費税率を引き上げれば「少子化を悪化させかねない。世も末だ」と苦言を呈した。経団連が、個人に負担を求めれば良いとする姿勢は「日本人の所得水準を下げていくことをよしとしている」と非難。「日本社会や経済はどうでもよくて、経団連に加盟している会社にとってこれが一番良いということをいっている」と強調した。経団連会長は〝財界総理〟とも呼ばれるが、そうしたイメージについて丸山知事は「誤解の域に達している」と指摘。そのうえで、経団連会長は「パーシャル(一部分)しか代表してないということでいけば、医師会などの会長がいっているのと変わらない」と主張した。

◆「そうですね、その重みや贈与税とか……」(9月21日、大阪・北新地の元ナンバーワンキャバクラ嬢で、現在は社長業のHIMEKA=ひめか=氏)――読売テレビの番組「今田耕司のネタバレMTG」に出演して。キャバ嬢時代に受け取った最高額のプレゼントについて質問され「引かれちゃいそうなんですけど……」と前置きしたうえで「6000万円の時計をいただいて」と告白。今田耕司さんが「税金も何千万か払わなあかんやん」と指摘すると、「そうですね、その重みや贈与税とか……」と応じ、頷きながら「タダが1番高いって思います」と返した。

気になるニュースのキーワード

不信任決議

 兵庫県議会が全会一致で可決した斎藤元彦知事(写真)に対する「不信任決議」。都道府県など地方行政機関の長(首長)に対する不信任決議の場合、その方法・手続きは地方自治法で定められている。不信任とは、その人を信用して仕事を任せることができないという意味。3分の2以上の議員が出席した議会で、その4分の3以上が賛成すれば、首長の不信任を可決することができる。不信任決議が可決された首長は10日以内に議会を解散することができる。解散を選択しなければ、決議可決から10日を経過すると失職する。不信任決議は国会の衆議院で内閣に対して行われることもある。可決された場合、内閣の長である総理大臣は衆議院を解散するか、内閣総辞職するかを決めなければならない。

解説 国の基金

利根川・荒川水源地域対策基金基本基金

 利根川・荒川水系でのダム建設により著しく影響を受ける地域と地域住民を支援する目的で1976年度に設立された。所管は国土交通省、基金を保有する設置法人は公益財団法人利根川・荒川水源地域対策基金。初年度に1億円の交付を受けた後、70年代に3回、90年代に5回の交付を受けた。
 2023年度の基金残高は約10億3千万円で、運用益から得た収入は約1400万円。約1300万円を事務管理費、100万円をイベントなどの啓蒙・交流事業費として支出している。
 基金の終了予定時期は27年3月末としているが、成果によっては延長の可能性もある。
 外部有識者からは、「基金残高と比較して交付実績が著しく少なく、支出の大半は事務管理費であり、さらに同種の基金より事務管理費が高い」と指摘されている。このため基金の必要性、適正な基金残高、費用の適正性の再検証を提案されている。
 利根川・荒川が流れる1都5県が半額を負担して財団を設立。国が残りの半額を財団の基本基金として助成するかたちで造成している。財産の運用収益で運営される〝運用型〟の基金であるため、「利根川・荒川水系でのダム建設により著しく影響を受ける地域と地域住民」に対して直接支出・交付するかたちでの事業はなく、あくまでも運用益のうち約100万円をイベントなどに支出しているに過ぎない。このため基金残高が大きく減ることはなく、運用益の大半を事務管理費として支出することがほぼ唯一の目的となったまま、50年近く存続している。

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