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第1821号(2024年9月25日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「事項要求があるから財政規律が緩む、一方的に増えていく、そういったことにならないように予算編成過程でしっかりと対応したい」(8月30日、鈴木俊一財務大臣)――記者会見で。国の予算編成について、必要な金額を示す必要がない「事項要求」を認めることで財政規律が緩み、歳出拡大に歯止めが利かなくなるのではないかという指摘に対し、鈴木氏は「令和6年度予算案を決めるにあたっても、(中略)必要度が低いといったらいいのでしょうか、時代の流れの中でだんだんと政策的な意味が薄れているというようなところはなるべく抑えていくということで、メリハリのある予算を編成したと思っております」と答えている。

◆「全世代型社会保障の考え方をよりしっかり徹底させていくことが必要だと思います」(9月3日、武見敬三厚生労働大臣=写真)――記者会見で。自民党の総裁選を巡って現役世代の社会保険料負担の軽減を訴える候補者について、武見氏は「少子高齢化社会の中での社会保障のあり方、そしてその中での負担のあり方といった議論もしていただきたい」と語った。続けて、「私どもの立場としては、高齢化などにより社会保障給付が増加する中においても、社会保障負担率の伸びを抑制するため、所得の増加を先行させ、徹底した歳出改革により社会保険料負担を全体として軽減していくことが重要」と述べている。

◆「結局、年末調整の廃止は、ほとんどの国民にとって事務負担の増加となり、マイナスの影響のほうが大きく現れることになるのではないか」(9月5日、経済評論家の門倉貴史氏)――SNSで。自民党の総裁選に立候補した河野太郎氏が、将来的に年末調整を廃止してすべての納税者に確定申告をしてもらうと主張する案に対して、門倉氏は「年末調整を廃止して、すべての国民が確定申告をする制度に移行した場合、個別企業の事務コスト負担は大幅に軽減されることになるだろう。ただ、その分、確定申告をする給与所得者と税務署の事務コスト負担が大幅に増えることになる」と指摘した。

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企業会計基準委員会

 日本の会計基準をつくる民間組織。財務会計基準機構(FASF)の内部組織で、「日本の会計基準設定主体」とされる。英語表記は「Accounting Standards Board of Japan」で、これを略して「ASBJ」とも呼ばれる。金融庁の企業会計審議会の役割を引き継いで2001年に設立された。
 従来、日本の企業会計基準は金融庁長官の諮問機関である「企業会計審議会」がつくっていた。しかし、国際会計基準委員会(IASC)が国際会計基準委員会財団(IASCF)と国際会計基準審議会(IASB)に改組された際、「加盟国の基準設定主体は民間団体でなければならない」とするルールが制定された。
 このため、FASFが新設され、併せて「日本の会計基準設定主体」が民間組織のASBJに移された。ASBJはIASBの活動に参加し、各国の会計基準設定主体と連携して国際的な会計基準の開発・整備などに取り組んでいる。
 ASBJでは、基本原則としての「企業会計基準」、詳細ルールとしての「企業会計基準適用指針」、企業会計基準がカバーしていない領域の当面の取り扱いなどを示すための「実務対応報告」を通じて意見を公表している。

解説 国の基金

革靴製造業事業基盤強化支援事業基金

 中小製靴製造事業者の経営安定化と事業多角化のため2005年度に設立された。所管は経済産業省、基金を保有する設置法人は一般社団法人日本皮革産業連合会で、初年度に5億円の交付を受けている。
 これまでに国庫への返納は行っておらず、22年度末の基金残高は9500万円。基金の終期は33年3月末を見込んでおり、27年3月に成果の検証を行うとしている。
 製靴関連産業の事業者数は、各国との度重なる経済連携協定(EPA)の締結により、22年には229事業者まで減少。その大部分が中小事業者となっている。
 EPAは輸出入にかかる関税を撤廃・削減するなど特定地域での貿易・投資を促進するための条約。輸出時にメリットはあるものの、当該国内でのニーズが高い製品であることが重要となる。
 他国から人気ブランドの製品が無税・安価で輸入されてくると、国内の既存ブランドが淘汰される可能性がある。このため技術開発支援や情報の収集・提供、利子補給事業などを実施している。
 22年度の支出は1200万円で、このうち500万円が管理費。21年度は支出600万円のうち300万円が管理費だった。
 外部有識者からは、毎期の事業額が僅少で、支出に占める管理費の割合が高いため、基金の合併または終了措置が必要だと指摘されている。

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