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第1814号(2024年7月15日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「ふるさと納税はその機能が逆立ちしている」(6月27日、保坂展人世田谷区長)――記者会見で。ふるさと納税によって区からの税の流出額が100億円を超えたことについて保坂区長は「約110億円の流出はたいへん大きな金額である。その一方で、寄付金額が約3億3000万円と大きな開きを見せている」とコメント。ふるさと納税のシステムについて「税には富の再配分という機能があるが、ふるさと納税はその機能が逆立ちしている。たくさん収入のある方は青天井でこのふるさと納税が使える。上限があってしかるべき。青天井であることを規制すれば、流出額はかなり減る」と意見を述べた。

◆「その一連の言動は、市に遺贈するという内容で矛盾しない」(6月21日、和歌山地方裁判所の高橋綾子裁判長)――和歌山地裁で。〝紀州のドンファン〟として知られた実業家の野崎幸助さんの「全財産を田辺市にキフする」と記した遺言書を巡って、親族が遺言書の無効を求める裁判を起こしていた。遺言書について和歌山地裁は「本人の筆跡であると見て相違ない」と判断。高橋裁判長は「長年にわたって田辺市に1000万円を超える寄付を行い、寄付を継続するなどの一連の言動は、市に遺贈するという内容で矛盾しない」と親族の訴えを退けた。判決について親族の代理人を務める渥美陽子弁護士は「親族にとって残念な結果であり、控訴に値する案件である」と不満を述べている。

◆「こんな制度だったら最初から言ってくださいよ」(6月27日、馳浩石川県知事)――記者会見で。能登半島地震から半年。ようやく輪島朝市の対象エリア264棟の家屋に対して法務局による職権滅失登記が完了した。これにより建物の所有者の申請を待たずに公費解体を進めることが可能となった。しかし、滅失登記された家屋のうち172棟ですでに公費解体の申請があったという。馳知事は「本音を言いますよ。(公費解体の申請が必要ない)こんな制度があるのだったら最初から言ってくださいよ」と不満をもらした。その上で「法務省は所有権の問題というものを法的に極めて尊重しているということだったと思います」と同制度の適用に慎重だった法務省の姿勢を皮肉った。

気になるニュースのキーワード

オーバーツーリズム

 観光客の増加が特定地域の受容能力を超えてしまうことで、地元住民の暮らし、自然環境、生態系、景観などに悪影響が出ること。観光公害・観光過剰とも訳される。具体的には公共交通機関の混雑、ゴミ処理、騒音問題などが挙げられる。
 観光庁は2018年に「持続可能な観光推進本部」を設置。24年3月にはオーバーツーリズムの防止や抑制に向けた対策を進めるモデル地域に「京都」「富士吉田市」「箱根」「浅草地区」など20のエリアを選定した。国から8千万円を上限に対策費用の3分の2が補助される。今年7月にも追加地域を選定する方針。また、オーバーツーリズムが深刻化している30超の自治体では宿泊税の導入や導入・検討が進んでいる。

解説 国の基金

グリーンイノベーション基金

 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションの取り組みを大幅に加速させるため2020年に設立。所管は経済産業省。基金設置法人は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。初年度に2兆円の交付を受けている。22年度末時点で基金残高は約2兆2308億円。
 革新的技術の研究開発・実証から社会実装までを最長10年間継続して支援する。これまでに19のプロジェクトを組成し、基金から各プロジェクトに計1兆9163億円の拠出を決定。経産省は「将来の資金需要を把握することは困難であるが、現時点で保有する資金に関して、保有割合は適正と判断している」とコメント。
 一方で、外部有識者からは「当初から補助事業にするなど、企業にも相応の負担を求めて主体的に参加させることで、より少ない予算で事業を実現することはできないか」などの指摘があった。
 プロジェクト終了後のフォローアップや事務手続きへの対応に必要な期間が未確定のため、基金終了時期は未定。

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