毎月更新!時事コラム

第1810号(2024年6月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「(介護保険料について)大阪市として特有の背景があります」(5月21日、横山英幸大阪市長)――テレビ番組で。大阪市の介護保険料が全国平均より約3000円高いことが明らかになった。保険料が上がる要因の一つとして要介護認定の割合が全国平均に比べて高いことが指摘された横山市長は「大阪市として特有の背景があります。一人暮らしの高齢世帯の方は自立に際して家族等からのケアを受けることが難しいので、一人暮らしの高齢世帯が多いことが要介護認定の割合を高く押し上げている要因の一つと考えている」と説明している。

◆「『減税してあげたわよ』と国民に恩恵を分からせて、わざわざ宣伝するようなことですか」(5月22日、立憲民主党の辻元清美参議院議員=写真)――参院予算委員会で。政府は定額減税について、減税額を給与明細に記載することを義務付ける。岸田首相は「(事務)負担が生じることは承知しているが、昨年の議論の中でこうした取り扱いをすることを決定しております」と述べた。これに対して辻元議員は「総理は自民党の会合で『給与や賞与の支払時に減税の恩恵を国民に実感していただくことが重要であり、給与明細に明記されるようにするとともに、集中的な広報などの発信を強めていく』とおっしゃった。これね、あなた『減税してあげたわよ』と国民に恩恵を分からせて、わざわざ宣伝するようなことですか」と非難した。

◆「徴収という観点から言うと必ずしも二重課税ではない」(5月21日、湯崎英彦広島県知事)――記者会見で。広島県が「宿泊税」の導入に向けて動いている。宮島の「訪問税」と二重課税になるのではないかという指摘に対して湯崎知事は「これ(訪問税)は課税対象も違いますし、使途については重なるところも出ると思うが、そこは調整可能だと思う。徴収という観点から言うと必ずしも二重課税ではない」とコメントした。続けて、「宮島は非常に観光事業が強いので、基盤整備も含めて財政需要として必要だと思っている。県に宿泊税が導入された際には、広島に訪問したお客様が快適に過ごすことができる体制にしていくことが重要だ」と述べた。

気になるニュースのキーワード

申告書等閲覧サービス

 過去に税務署へ提出した申告書の内容を確認する必要があると認められた場合、閲覧できる制度。各種申告書だけでなく、請求書や届出書なども確認できる。納税者が適正な申告を行うためのサービスで、所轄の税務署の窓口で申請できる。
 記録は基本的に書き写しが許される。デジタル機器での写真撮影も同意により可能だが、対象書類以外が写っていないか確認されることもある。動画撮影やコピーはできない。また個人が控えた内容が原本と合致しているかなどの証明も行っていない。
 閲覧は納税者本人か代理人ができる。代理人の範囲は、①未成年者または成年被後見人、②配偶者・4親等以内の親族、③納税管理人、④税理士・弁護士・行政書士、⑤法人の役員または従業員――となる。
 国税庁は、申告書等閲覧サービスの実施について「事務運営指針」を一部改正している。「過去」に提出された書類を確認できる制度であることを明確にするため、提出した当日の閲覧申請については「原則としてこれを認めない」とする文言が追加された。

解説 国の基金

中小企業等事業再構築促進基金

 コロナ禍の影響により事業転換に取り組むことを余儀なくされた中小企業を支援するとして2021年に設立。所管は経済産業省。基金設置法人は独立行政法人中小企業基盤整備機構で、初年度に約1兆1485億円の交付を受けた。23年度の基金残高は1兆9861億円。
 これまで6万6760件の中小企業による新分野展開や業態転換などの事業再構築を支援してきた。
 しかし、昨年の行政事業レビューでは、新型コロナ対策の役割が終わりつつあり、基金やその事業の一部を廃止または抜本的に見直すべきとの指摘を受けた。
 そのため、4月23日から公募が再開された事業再構築補助金は支援枠を①成長分野進出枠、②コロナ回復加速化枠、③サプライチェーン強靭化枠――の3つに改組。補助上限は成長分野進出枠が1億5千万円、コロナ回復加速化枠が2千万円、サプライチェーン強靭化枠が5億円となっている。
 シミュレーションゴルフやエステサロンなど特定の業態に申請が集中したことから審査を厳格化。同じ計画書の使いまわしをAIで検知して排除する仕組みを設けるほか、これまで支給企業に対して1年ごとに求めていた報告の頻度を四半期ごとに改めた。
 中小企業庁では基金方式の必要性について、「事業者が躊躇することなく事業再構築を進めるためには、あらかじめ複数年度にわたる財源を確保した上で、弾力的な執行を行う必要がある」と説明しており、事業の終了は32年を予定している。

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