毎月更新!時事コラム

第1806号(2024年4月25日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「税金に無知であったために、確定申告を怠っていた」(4月1日、池田恵梨香氏)――SNSで。人気漫画『薬屋のひとりごと』で作画を担当する「ねこクラゲ」こと池田恵梨香氏が約4700万円を脱税したとして、福岡国税局から所得税法違反の疑いで刑事告発された。福岡局によると、池田氏は2021年までの3年間で2億6000万円の所得を申告しなかったという。池田氏は「しっかり納税義務を果たしている皆様にも不誠実であったと深く反省している。私がコミカライズを担当している作品の原作者様や、同作のコミカライズに関わる他の先生方は一切関係ありません」と、あくまで個人の問題であることを強調した。

◆「それに使うための税金である」(4月8日、村井嘉浩宮城県知事)―――記者会見で。宿泊税の導入を巡り、宮城県内の各自治体では宿泊税に前向きな意見が多い一方、鳴子町や南三陸町、気仙沼市といった一部地域では反対の声があがっている。反対の声に対して村井知事は「まだ十分な観光客が戻ってきていないということだと思う。宮城県全体としては増えており、コロナ前に戻っているという認識でいるが、特定の地域には戻っていない。そこをどうするのか、それに使うための税金である」と宿泊税を導入することの意義を示した。続けて、村井知事は「いろいろな意見が当然出てくる。反対意見もあるわけだから、そういった意見もくみ取り、制度設計を考える」と今後の方針を述べた。

◆「加入者一人当たり平均月額500円が変わったわけではない」(4月10日、林芳正官房長官)―――衆議院内閣委員会で。「子ども・子育て支援金」の年収別徴収額の試算が4月9日に公表された。年収600万円で一人当たり月1000円の負担額と試算され、〝子育て増税〟との指摘を受けた林官房長官は「保険料の額は加入者一人当たりで示すことが一般的であり、加入者一人当たり平均月額500円が変わったわけではない」と答弁した。立憲民主党の山井和則議員は「ワンコイン500円で安いですよと言い続けて、実際に出てきた試算は1000円の負担額。しかも事業主負担を入れると2000円ですよ。事業主の人は賃上げしたいと思っていても、事業主負担1000円になったら賃上げできなくなる」と批判している。

気になるニュースのキーワード

定額減税

 国内居住者1人当たり所得税3万円、住民税1万円、合計4万円が〝減税〟される。所得が48万円以下の扶養配偶者と扶養親族も対象となり、1人当たり4万円が減税される。ただし、所得金額が1805万円を超える本人と、同一生計のその家族は、定額減税の対象外となる。
 給与所得者は6月から源泉徴収と特別徴収で減額控除される。個人事業主は6月から住民税が減額控除され、所得税は年2回の予定納税から控除される。予定納税がない事業者も含めて確定申告で最終調整する。年金受給者は、6月に所得税から控除が始まり、引ききれない場合は次の受給月へと繰り越される。住民税は10月に受給する年金で減額控除される。ただ給与所得もある人や扶養親族の人数が変わった場合には確定申告が必要となるケースもある。
 給与所得者の対象扶養家族は、年末調整の扶養控除対象者と一致しない点があるため、改めて抽出し直す確認作業が6月に向けて急務になっている。もし、対象の扶養家族の人数などによって定額減税を満額受けきれないときは、市区町村から給付金が1万円単位で支給される予定。
 あまりにも複雑な制度設計となっているため、その手続きを担うことになる経理の現場では大混乱が予想されている。

解説 国の基金

先端設備等導入促進補償制度推進基金

 企業への最先端設備の導入を促進するとして2013年に設立。
 所管は経済産業省。基金設置法人は一般社団法人低炭素投資促進機構(促進機構)で、初年度に49億円の交付を受けた。2023年の基金残高は46億9500万円。事業終了は2034年を予定している。
 リース手法を活用した先端設備等導入を支援する。リース事業者が、リース期間終了後に当該物件を売却した際、損失が出ればその2分の1を、購入価額の5%を上限に補填する。事業は15年度末に新規の募集を終了し、現在は採択後の処理のみを実施している。
 補償支援契約額は累計2000億円となる。2023年3月末時点で最大損失補填額を約60億円と想定しており、現状の基金残高では足りないとする。その一方で、21年度の支払い補償金額を6億2400万円と見込んでいたが、支払い実績はゼロ。22年度も8億2500万円を見込んだが支払いは発生しなかった。22年度末までの3年間で支出は管理費のみとなっている。
 基金方式の必要性について「見積残存価額を下回る金額でしか処分できなかった場合に、その下回った金額の一部を補填するための損失補填であり、『行政改革推進会議の取りまとめ』にある基金三類型のうち、『不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業』に該当するため」としている。
 促進機構は低炭素投資促進法に基づくリース保険事業を運営するため、10年7月に設立された。同年9月に経済産業大臣から需要開拓支援法人として指定され事業を開始。その後、政府から複数の事業を受託している。

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