毎月更新!時事コラム

第1801号(2024年3月5日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「(トリガー条項の凍結解除について)結局、補助金の延長なのか」(2月16日、国民民主党の玉木雄一郎代表)――SNSで。ガソリンなどの燃油価格の高騰を抑えるために政府が支出している補助金は2024年4月末までとされていたが、5月以降も継続していく方針だ。玉木代表は「トリガー発動による減税への反論として、一度減税をしたら戻せなくなるというが、補助金こそダラダラとやめられないではないか」と指摘した。続けて、「既に6.4兆円もの巨額の予算を使っていてトリガー発動より高くついているし、市場原理もゆがめているし、出口戦略もない」と厳しく批判した。

◆「還付金と留保金っていう認識を見ると党全体で反省してないじゃないかって思われちゃいますよね」(2月22日、ジャーナリストの青木理氏)――テレビ番組で。自民党はパーティー券問題でキックバックに関与したとされる議員から聞き取り調査を行い、調査報告書を2月15日に公開した。青木氏は「今回の自民党の調査報告書で僕らが裏金と言っているお金がなんて書かれてあるかご存じですか。還付金と書いてある。還付金は我々が税金を納め過ぎたら還ってくるものを一般的にはいう。あるいは中抜きしたお金を留保金と書いている」と、自民党による裏金の認識について指摘した。

◆「納税者に長く説明してきたことを寸前で変えるのはよくない」(2月16日、野田佳彦元首相)――財務金融委員会で。政府は昨年12月にインボイス制度導入による消費税の新たな増収分を、少子化対策の財源に充てることを明らかにした。インボイス導入の目的はあくまで適正な課税を確保するためのものであり、免税事業者が課税事業者に転換することで結果として消費税の増収が見込まれるというのが政府の見解だ。インボイス導入による消費税の使い道について、野田氏は「もともとは軽減税率の財源だったじゃないですか。しかも、インボイス制度で免税事業者から課税事業者が増える。それは(新たに課税事業者になる人たちにとって)増税になりますよね。その金額分は軽減税率の穴埋めになると長く説明していたのに、今度は少子化対策に鞍替え。税金はコロコロと目的を変えるものではない」と非難した。

気になるニュースのキーワード

OECD(経済開発協力機構)

 税制を含めた国際的な議論やマクロ経済動向、貿易、開発援助、持続可能な開発、ガバナンスの分野での加盟国間の分析と検討を行っている国際組織。加盟国は欧米の先進国を中心とした38カ国(2024年2月現在)で、EU加盟国から22カ国、それ以外から16カ国で成り立つ。本部事務局はフランスのパリにある。世界最大のシンク・タンクとされ、2000人を超える専門家を抱えている。
 第二次世界大戦後に経済的に混乱状態だった欧州各国を復興支援する目的で発足した。米国のマーシャル国務長官が「マーシャル・プラン」を発表し、これが基となって1948年4月に欧州16カ国でOEEC(欧州経済協力機構)が設立された。その後、61年9月に米国とカナダが加わったことでOECDと名称が変更された。なお、日本は64年に加盟している。
 OECDは2月20日、インドネシアの加盟に向けた協議を始めると公表した。実現すれば東南アジアからは初の加盟国となる。マティアス・コーマン事務総長は、「インドネシアは東南アジア最大の経済規模を持つ国だ」と受け入れを歓迎する姿勢を示している。
 なおアジアからは、現時点で日本と韓国が参加している。

押さえておきたいIT用語

ゼロトラスト

 急速なデジタル変革と技術の進化に伴い、企業や組織のセキュリティーへの脅威が増している。その中で注目されるのが、「ゼロトラスト」と呼ばれるセキュリティー対策の新たな取り組みだ。これまでのネットワークセキュリティーモデルを全て否定し、アクセスに対して慎重な検証を行うという原則に基づいている。
 基本理念となっているのが、名称にあるように「信頼しない前提」だ。これは内外問わずあらゆるデバイスやユーザーに対して、常に検証を行う姿勢を示す。従来の「内部は安全、外部は不安」という前提を捨て、あらゆるアクセスに対して懐疑的なスタンスを維持する。
 ゼロトラストのもう一つの重要な原則が「最小特権の原則」だ。ユーザーやデバイスには最底限の権限しか与えないという考え方であり、権限の過剰な付与が引き起こす潜在的な脆弱性を排除して情報漏えいや不正利用を未然に防ぐ。
 ゼロトラストにより、従来のモデルでは対応が難しい課題への対処も期待されているが、導入に当たっては既存のネットワークやアプリケーションの再設計が必要となり、大規模な組織では実装が困難なことも多い。一方で中小規模の事業所においても、有効に運用するにはセキュリティーの専門家やネットワークエンジニアに高度なスキルが求められることから、現実的に難しい面も指摘されている。

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