毎月更新!時事コラム

第1800号(2024年2月25日号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「競馬に関して税金が怖くて買えない人が結構いる」(2月12日、芸人のじゃい氏)――ネット番組内で。競馬の税金問題について、じゃい氏は大口の購入者ほど税金に抵抗があることを指摘した。競馬に関する税金は、馬券購入時点で国庫納付金が支払われているにもかかわらず高額当選した場合にさらに課税される「二重課税」の点や、はずれ馬券の購入額が経費にできない点が問題として挙げられる。じゃい氏は「もし(配当金を)非課税にして大口の購入者たちが自由に馬券を買えるようになれば、それは国にとってもプラスじゃないのか」と持論を展開した。さらに、馬券購入費や払戻金について定めた競馬法が80年ほど前の法律であることに対して、「アップデートしていかなければいけない」とコメントした。

◆「こんな何千万もの裏金を受け取っておきながら、どうして脱税が問えないのか」(2月16日、立憲民主党の江田憲司衆議院議員)――衆議院財務金融委員会で。自民党派閥の裏金問題をめぐり、江田議員は「税務署の窓口で大混乱が起こるのではないか。国税庁が(裏金問題の)対応を誤ると税金一揆が起きてもおかしくない」と懸念をあらわにした。これに対して、鈴木俊一財務大臣は「国民から憤りの声が寄せられていることを実感している。申告と納税は国民の理解によって成り立つもの。納税者が不公平と感じないような丁寧な対応をしていく必要がある」とコメントした。なお、自民党内では「政治資金として処理しているから、所得税の関係は発生しない」とキックバック分の納税に対して否定的な意見もある。

◆「(訪問税の)使い道を分かりやすく示していくので、これからも気持ちよく税金を払っていただきたい」(2月14日、松本太郎廿日市市長)――記者会見で。広島県廿日市市は昨年10月より宮島を訪れる観光客から1人あたり100円の訪問税を徴収している。市は訪問税徴収への理解を得るため、予算の使い道を宮島のターミナルの看板などで発信していくという。廿日市市は2月14日に「2024年度当初予算案」を公表し、この予算案には訪問税の使い道が盛り込まれた。駐車場の混雑状況をスマートフォンで確認できるようにする他、ゴミ対策やトイレの増設に力を入れる方針だ。

気になるニュースのキーワード

診療報酬

 医療機関が診療報酬制度に基づいて受け取る医療行為の対価のこと。同制度では、各医療行為に厚生労働大臣があらかじめ設定した点数を加算していく出来高払いが基本となる。診療報酬の大部分は、全国民に加入が義務付けられている公的医療保険制度の保険料を財源として支払われる。
 診療報酬は通常2年に1度見直される。この改定は、医療の進歩や社会情勢を診療報酬に反映させる狙いがある。例えば医療行為は非課税取引のため患者から消費税分を受け取ることはないが、医療機関は仕入れに対して消費税分を含めた額を支払っているため消費税率の引き上げがあれば改定で調整をするといった具合だ。
 2024年度の見直しでは政府が進める賃上げなどの処遇改善面が重視された。初診料や再診料に上乗せできる「加算」が新設される。感染症への対策費用に充てるため初診料や再診料、さらに入院基本料も引き上げる。
 2月14日に厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会がまとめた改定案によると、初診料で30円、再診料で20円の上乗せが実施される。初診料の引き上げは、消費税の増税時を除くと20年ぶりだ。

押さえておきたいIT用語

キッティング

 パソコンなどを新規導入した際に実施するセットアップ作業を指す。必要なアプリケーションのインストールや社内ネットワークとの接続など、ユーザーがすぐに使える状態にすること。パソコンの新規導入だけでなく、OSの変更時にも、データ移行も含めて設定作業が必要となる。
 会社の規模が大きくなれば、新入社員が入社する春先の作業は膨大なものになる。単純作業とはいえ、数十台、数百台という数になれば作業負担は大きく、通常業務を圧迫するなど多くの企業で課題となっている。
 作業時間は事業規模や条件によって異なるが、一般的なパソコン1台で最低でも1時間、なかには数時間を要することもある。仮に1台3時間の設定時間でパソコンが100台あれば、1人の作業者によるキッティング作業は合計300時間、1日8時間労働で37.5日となる。
 そこで最近は、キッティングの自動化ツールがITベンダー各社より提供されるようになっている。
 さらに、キッティングを含むIT資産の選定から廃棄までのライフサイクルを各プロセスに応じてサポートするアウトソーシングサービス「LCM(IT運用管理)サービス」も人気を集めている。
 情報システム部門に対する膨大な業務負荷を軽減するため、特に中小企業など専任の情報システム担当者がいない事業者や、システム開発の担当者が日常業務の合間にキッティング作業をしている事業所で活用が進んでいる。

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