毎月更新!時事コラム

第1755号(11月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「所得税の『1億円の壁』解消は緊急課題だ」(11月7日、公明党の西田実仁税制調査会長)――経済誌のインタビューで。所得が1億円を超えると実質的な税負担率が下がる「1億円の壁」について、「なんとか正さないと税の公平性が保たれない」としたうえで、「超富裕層への課税強化が必要だ」との見解を示した。サラリーマンの給与所得や自営業者の事業所得には住民税とあわせて最高55%が課される一方、株式や債券など金融商品による所得では税率が一律20%になっており、金融資産の多い富裕層ほど税負担率が下がる仕組みになっている。西田氏は「市場への影響を考えつつ議論していく」とした。

◆「日本の自動車オーナーに課される税金は欧米の31倍だ」(10月31日、日本自動車連盟)――2023年度税制改正に関する要望書で。自動車の取得時にかかる「環境性能割」や保有中に発生する「自動車税(軽自動車税)」、車体の重さに応じて課される「自動車重量税」など、国内のオーナーが負担する税金は「欧米諸国の約2.3倍~31倍と極めて大きくなっている」と指摘し、抜本的な減税を訴えた。具体的な要望事項としては、①すでに保有されている自動車を含め自動車税を恒久的に引き下げること、②環境性能割の廃止、③自動車重量税の廃止、④ガソリン税と消費税の「二重課税」の解消――などを挙げた。要望書のとりまとめにあたり実施したアンケート調査によると、国内の自動車オーナーの98.5%とほとんどが自動車に課される税金を「負担に感じている」と答えたという。

◆「石油業界には高い税金を課す必要がある」(10月31日、米国のバイデン大統領)――記者会見で。原油価格高騰による在庫評価益の増加などを受け石油業界が莫大な利益を計上していることについて、「ウクライナ戦争に乗じて儲けを出しているに過ぎない」と指摘したうえで、「利益を消費者に還元すればガソリン価格は下がる。価格を下げないのであれば高額な税金を課す」と圧力をかけた。米石油大手の2022年7月~9月期の純利益を見てみると、エクソンモービルは約443億ドル(約6.3兆円)、シェブロンは約112億ドル(約1.6兆円)に達し、両社とも過去2番目の高水準を記録した。発言時、バイデン氏は中間選挙を前にインフレ対策を強調していた。

気になるニュースのキーワード

リモート税務調査

 リモート税務調査とは、オンラインで完結させる税務調査の手法のこと。今年の10月から一部の大企業を対象として試験的に運用が始まった。
 聞き取り調査はウェブ会議システム「Webex(ウェベックス)」上で実施し、帳簿をはじめとした税務関連の資料のやり取りについても当局が用意したオンラインストレージサービスにアップロードして共有する。調査に立ち会う税理士についても、事務所などからオンライン上で参加できるようになる。コロナ禍で導入された「臨場リモート調査」と異なり現地での対応が不要となるため、企業は税務職員用の会議室やノートPC等の通信機器を用意する手間が省ける。
 国税庁によると、現時点でリモート税務調査の対象となるのは全国の国税局調査部の特別国税調査官が担当する資本金40億円以上の大企業、いわゆる「特官所掌法人」の約500社のみとなっているが、将来的には中小企業にも適用していく可能性があるという。調査時にリモートと実地のどちらを選択するかについては、納税者は希望を申し出ることはできるものの、最終的な判断は当局に委ねられる。
 なおリモート調査になった後でも、請求書・領収書等の現物確認や保有資産の利用状況確認など、調査上の必要に応じて「臨場および直接の対面での調査に切り替える場合がある」(国税庁)という。

押さえておきたいIT用語

eスポーツ

 eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略称で、対戦型のコンピューターゲームを用いたスポーツ競技を指す。日本eスポーツ連合によれば米国や中国、韓国で特に人気を集めており、世界の競技人口は1.3億人に上っているという。メジャーなスポーツ競技として世界的に認められ始めており、2021年には国際オリンピック委員会がeスポーツを競技種目とする世界大会「Olympic Virtual Series (OVS)」を初めて開催した。
 競技に用いられるコンピューターゲームの主な分類としては、仮想空間のなかで射撃の腕を競う「シューティングゲーム」や、キャラクターを操作して1対1の格闘技で戦う「格闘ゲーム」、自動車やバイクを操作してゴールまでの時間を競い合う「レーシングゲーム」、複数のプレイヤーがチームに分かれて敵の本拠地の制圧を目指す「MOBA」などがある。国内で人気のあるゲームタイトルとしては、任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ」やカプコンの「ストリートファイターシリーズ」がある。
 人気のあるゲームタイトルでは賞金付きの競技大会が開催されている。21年の「The International 10」では1800万ドル(当時のレートで20億円超)と破格の優勝賞金が用意され話題となった。多額の賞金を獲得する日本人選手も出てきており、21年にはプロゲーマーの柿沼秀真氏が「Shadowverse World Grand Prix」で優勝し1.5億円を手にした。

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