毎月更新!時事コラム

第1731号(3月25号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「北方領土に外国企業誘致のための免税特区を設けたロシアに異議を申し立てた」(3月10日、松野博一官房長官)――記者会見で。ロシアが北方領土に進出する企業に対して税制上の優遇措置を設ける法律を成立させたことについて、「北方4島に対する日本の立場や日露間で議論してきた共同経済活動の趣旨と相容れない」と批判した。ロシアの新法では、北方領土に拠点を設けるロシア内外の企業に対し、法人税や固定資産税などについて最長で20年間にわたり優遇するという。プーチン大統領は昨年9月に免税特区を設ける計画を発表しており、これまで中国や韓国の企業に進出を呼びかけてきた。日本は北方領土の領有権を主張しているものの、ロシアによる実効支配が続いている。

◆「消費税の引き下げは考えていない」(3月9日、鈴木俊一財務相)――参院予算委員会で。コロナ禍における経済対策として消費税の引き下げを求めた野党議員に対し、「社会保障を支える重要な財源であるため、引き下げは考えていない」と否定した。日本の社会保障制度の財源は社会保険料で賄うのが原則となっているが、少子高齢化が進むなか、社会保険料のみでは現役世代に負担が集中するとして、政府はあらゆる世代が支払っている消費税を社会保障の財源に充当する方針をとっている。ただ、消費税は使途が特定されない一般財源であり実質的にすべての歳出予算に充てられていることから、法人税率の引き下げを消費増税で穴埋めしてきたに過ぎないとの批判もある。

◆「社会保障の不安を解消しなければ賃上げ税制に効果はない」(3月8日、東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹)――参院予算委員会で。成長と果実の分配による「新しい資本主義」を掲げて岸田文雄首相が取り組んでいる賃上げ税制について、「先に社会保障の将来像を示さなければ、賃上げを促進したところで分配と所得の好循環は期待できない」と批判した。また、日本が長きにわたる低成長に陥っているのは「医療や年金に対する不信感が消費者の財布のひもを締めさせていることが原因にある」と指摘した。2022年の税制改正大綱に盛り込まれた賃上げ税制は、給与額や教育訓練費などを一定以上増やした企業に対し最大40%の税額控除を行うとしている。

気になるニュースのキーワード

SWIFT

 SWIFTは、銀行間の国際的な金融取引を仲介する決済ネットワークの運営団体だ。「国際銀行間通信協会」と訳される。1973年に設立され、現在は日本を含む200以上の国・地域の1万1000超の金融機関を繋いでいる。1日あたり約4200万件、約5兆ドル(約575兆円)に上る決済を仲介している。
 SWIFTに匹敵する国際的な決済サービスは今のところ存在しない。国境を越えた財・サービスの貿易決済や直接投資、資金調達、個人の資金移動など、あらゆる国際金融に欠かせない金融インフラとなっている。
 SWIFTから排除されると実質的に国際送金が不可能になるため、近年は国際的な経済制裁の手段として用いられるようになっている。2012年には核開発計画を巡って国際的に非難を浴びていたイランがSWIFTから除外された結果、同国は主要財源である石油輸出収入の約半分を失った。
 2月27日にはウクライナ侵攻を続けるロシアをSWIFTから排除することが決まった。国際送金が不可能になるリスクなどを見越してすでに同国から撤退する外資企業が相次ぎ、ロシア通貨・ルーブルの暴落を招いている。
 なお、天然ガスをはじめとしたエネルギー資源をロシアからの輸入に頼っている国が多数あるため、制裁発動後もロシアの金融機関の一部はSWIFTから除外されずに取引可能となる見込みだ。

押さえておきたいIT用語

オンプレミス

 オンプレミスとは、サーバーやソフトウェアといった情報システムを自社内で構築・運用することを指す。「オンプレ」「自社運用」とも呼ばれる。対になるキーワードとして、自社で情報システムを保有せずにインターネット経由でソフトウェアを利用する「クラウド」がある。
 オンプレミスのメリットとして、自社で構築するためシステムを柔軟にカスタマイズしやすいことが挙げられる。また、セキュリティの面でも、自社のネットワーク内でシステムを動かすため、世界中と繋がるインターネットを利用する場合と比較してサイバー攻撃を受けるリスクが抑えられる。
 デメリットとしては、機器やソフトウェアなどをすべて自社で用意するため、初期コストが高額になるうえ、構築に時間がかかる。また、ネットワークの障害などトラブルが発生したときにも自社で対応しなければならない。
 2000年代半ば以降はコストパフォーマンスが重視されてクラウドへの移行が進んでいたが、近年はセキュリティの堅牢性やカスタム性の高さといったオンプレミスのメリットが見直されはじめている。セキュリティ管理とコスト管理の両立を目指してオンプレミスとクラウドを組み合わせて活用する形態は「ハイブリッドクラウド」と呼ばれる。

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