毎月更新！時事コラム

最近の税に関するコトバ集

◆「法人税の導入により国際的な基準を満たす」（1月14日、アラブ首長国連邦のユニス・ハジ・アル・クーリ財務省次官）――公式声明で。アラブ首長国連邦はこれまで実質的な法人税ゼロを掲げて外国企業の誘致を促進してきたが、アル・クーリ次官は「法人税の導入により、税制の透明性に関する国際的な基準を満たす」と語った。2023年6月以降の会計年度から、法人の課税所得に対して原則9％の税率を適用するという。昨年10月にOECD加盟国など136の国と地域が法人税の最低税率を15％とすることで合意したことを受け、「タックスヘイブン（租税回避地）」としての国際社会からの批判をかわす狙いがあると見られている。また、世界的な脱炭素化の流れのなか、歳入の原油依存からの脱却も図っている。

◆「コロナ禍の支援が8分の1に激減した」（2月2日、日本共産党の笠井亮衆院議員）――衆院予算委員会で。昨年10月に岸田文雄首相が「持続化給付金並みの給付を実現する」と公約し、今年1月末に申請受付が始まった「事業復活支援金」について、「どこが手厚い支援なのか」と批判した。事業復活支援金では、中小企業は最大250万円、個人事業者は最大50万円を受け取れる。ただ笠井氏によれば、一昨年の緊急事態宣言時には家賃支援給付金などを含めて企業は最大800万円、個人は最大400万円を受給できたため「（個人では）8分の1に激減した」という。岸田首相は「対象事業者の範囲を広げた。手厚い支援だ」と答えた。

◆「文通費の見直しには時間がかかる」（2月8日、自民党の御法川信英国対委員長）――記者会見で。国会議員に月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費」について「見直しには時間がかかるものもある」と説明し、使途の公開に慎重な姿勢をあらためて示した。文通費は領収書の公開義務がなく、使途は法律上で厳密に定められておらずブラックボックス化しており、実質的に国会議員の懐に入る「第二の給与」と言われている。野党は使途公開を柱とする法改正を要求しており、2月8日には与野党6党が使途の範囲や領収書公開の義務づけを検討する協議会の初会合を開いた。今国会で結論を出すと確認したが、与党はこれまで一貫して使途の公開について難色を示している。

気になるニュースのキーワード

ストックオプション

　ストックオプションとは、取締役や従業員らが前もって決められた株価で自社の株式を取得できる自社株購入権を指す。将来的に株価が上昇したときに権利を行使して株式を取得・売買すれば、あらかじめ決めてあった株価と市場での株価の差額が事実上の報酬として得られる。会社の業績が向上しなければ売買差益が小さくなってしまうため、従業員に対して業績向上に向けた積極的な協力を促す効果があるとされる。また、手元に資金がなくても「将来上がる見込みの株価」を報酬代わりに支払えるため、資金繰りに苦労するベンチャー企業などで活用されている。
　例えばA社の株を1000円で1000株（総額100万円）購入できるストックオプションを得たとすると、将来的にA社の株価が1800円（同180万円）になったときに権利を行使して購入・売却すれば、差額の80万円を実質的な報酬として受け取れる。
　通常の給与と比べて節税効果もある。権利行使の期間や価額など一定の条件を満たせば株式の譲渡所得（税率20％、復興特別税を除く）として課税されるため、通常の給与に課される所得税・住民税（最大税率55％）と比較して税率を低く抑えることが可能だ。
　2021年の税制改正では、スタートアップを支援する弁護士やSEなど一定の要件を満たす外部協力者もストックオプションの付与対象に加えられた。

押さえておきたいIT用語

メタバース

　メタバースとは、メタ（meta＝超越した）と、ユニバース（universe＝宇宙）を組み合わせた言葉で、自分の分身を通じてあたかも現実世界と同じように生活を送ることができるインターネット上の3次元の仮想空間のことを指す。利用者は自分自身の顔や体形、服装などを再現した「アバター」と呼ばれる分身を介して、他の利用者とのコミュニケーションや商品の購入、サービスの提供などが行える。「バーチャル空間」「VR」とも呼ばれる。
　活用されている例として、任天堂が開発・販売しているコンピューターゲーム「どうぶつの森シリーズ」がある。仮想空間上で、自分好みの衣服に着替えや家具の製作、また野菜を育てることなども可能だ。着せ替え用の服には「グッチ」や「アディダス」など様々なブランドがコラボ展開している。三越伊勢丹がスマートフォンアプリで提供している「仮想三越伊勢丹店」では、仮想空間上でウインドーショッピングが楽しめる。
　メタバースという言葉は、米国のSF作家・ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した小説「スノウ・クラッシュ」に登場する架空の仮想空間サービスの名称だったが、テクノロジーの発展に伴い実際に様々な仮想空間サービスの提供が始まったことにより、現実世界でもメタバースの名称が利用されるようになった。