毎月更新!時事コラム

第1726号(2月5号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「今の税収では脱炭素化の推進が足りない」(1月21日、山口壮環境相)――記者会見で。産業や生活スタイルの脱炭素化に向けて政府が今夏までにまとめるとしている「クリーンエネルギー戦略」について、「社会の大変革が必要で、技術革新にはお金がかかる。新たな財源確保策が必要だ」との見通しを示した。同戦略は気候変動対策を経済成長につなげるための道筋を示そうというもので、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の看板政策のひとつとして、再生エネルギー関連の技術革新の推進や炭素税導入をはじめとした政策手法の検討が進められている。すでに石炭など化石燃料の利用に課税する「地球温暖化対策税」があり税収は年間で約2600億円に上るが、山口氏は「(税率を引き上げたとしても)足りない」と強調し、「イノベーション国債のようなあらたな仕組みを構想する必要がある」と述べた。

◆「(税収が上振れしたため)財政収支の黒字化目標は継続する」(1月14日、岸田文雄首相)――政府の経済財政諮問会議で。基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字化するという政府の目標について、20年度の国の税収が60.8兆円と過去最高になったことを踏まえ「見直す状況にないと確認された」と説明した。PBは財政の健全性を示す指標で、1年間に必要となる社会保障や公共事業といった政策的な経費を借金なしでどれだけ賄えているかを示す。ただ、試算は実質GDP成長率が2%程度と過去20年間でほとんど実現できていない前提に基づいている。また、税収増を牽引したのは19年に増税した消費税であり、野党議員からは今後の経済状況次第で先細りする可能性が指摘されている。

◆「文通費の使途公開に向け検討会を設置した」(1月12日、立憲民主党の西村智奈美幹事長)――記者会見で。国会議員に月額100万円が支給される「文書通信交通滞在費」(文通費)について、「検討会を設置し使途の公開に向けて協議を始めている」と説明した。文通費は領収書の公開義務がなく使途がブラックボックス化しているうえ、非課税のため実質的に議員歳費並みの実入りになることから、国会議員の「第二の給与」と呼ばれている。文通費の抜本改革を訴える日本維新の会や国民民主党はすでに使途の公開を決めた。

気になるニュースのキーワード

賃上げ促進税制

 賃上げ促進税制とは、従業員へ支払う賃金を増やした企業が増加額のうち最大40%(大企業は最大30%)を法人税額から控除できる制度だ。2022年度の税制改正大綱に盛り込まれている。
 中小企業では、従業員への総支給額を前年度比で2.5%以上増加させると30%、1.5%以上増やすと15%が税額控除可能となる。対象となる支給額には、正社員やパート・アルバイトに支払う給料のほか賞与も含む。また、外部研修や講師の招聘など従業員の教育訓練に費やす額を前年度比で10%以上増加させれば追加で10%の税額控除を受けられるため、最大で法人税額を40%減らすことができる。
 賃上げを促す税制は安倍政権下の13年から実施されており、現行制度の控除率は中小企業で最大25%、大企業で最大20%となっている。今回の税制改正により最大の控除率は中小企業で15%、大企業で10%引き上げられる見込みだが、根本的な制度の構造自体は変わっていない。
 21年の国税庁の調査によれば日本企業の65.4%が赤字であり、そもそも税優遇の恩恵がない企業が多数を占めているのが現状だ。賃上げ促進税制の効果が一部の優良企業にとどまるとの批判については、自民党の宮沢洋一税調会長も12月の会見で「効果が限定的なのは間違いない」と認めている。

押さえておきたいIT用語

SMS

 SMS(Short Message Service)は、スマートフォンや携帯電話などの電話番号を宛先にしてメッセージをやり取りするサービスだ。スマートフォンや携帯電話などに標準搭載されている国際規格のアプリであり、送信先の電話番号さえわかればNTTドコモやソフトバンクといった通信キャリアに関係なく世界中の端末にメッセージを送ることができる。フェイスブックなどの会員制ウェブサービスを意味するSNS(Social Networking Service)とは別物だ。
 電話番号だけで届くため、個人間のメッセージのやりとりにとどまらず商用利用も進んでいる。代表例が会員制ウェブサイトへの登録時やアクセス時に本人確認用の番号が送られてくる「SMS認証」だ。ダイレクトメールの代わりとしても活用される。
 SMSの使用料金は、インターネット通信料に含まれる電子メールなどとは異なり、メッセージの送信ごとに課金される。例えばNTTドコモの場合は1通あたりの文字数に応じて3円~33円の料金がかかる。受け取る側に料金は発生しない。
 普及に伴ってサイバー攻撃のリスクも増えており注意を要する。日本サイバー犯罪対策センターは昨年、通販サイト「アマゾン」などを騙ってメッセージを送信し個人情報を抜き取る「スミッシング」の被害が深刻化していると指摘した。

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