毎月更新!時事コラム

第1724号(1月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「税金1億円で国は真実にふたをした」(12月15日、松丸正弁護士)――記者会見で。森友学園問題の渦中で自死した財務局職員の妻が1億700万円の損害賠償を求めた訴訟で、国が請求を受け入れたことについて妻の代理人弁護士を務める松丸氏は「都合の悪い真実にふたをするためとしか考えられない」と批判した。高額な賠償請求には国が認諾して裁判を終わらせないようにする意図があり、裁判では職員に文書改ざんなどを迫ったとされる当時の理財局幹部らの証人尋問により真相究明が進むはずだったが、その機会は失われた。国は地裁に提出した書面で、職員が理財局の指示により精神疾患を発症し、自死に至ったと認めた。

◆「(年間9億円の保管料がかかる)アベノマスクの在庫解消へ努力する」(12月15日、松野博一官房長官)――記者会見で。安倍政権時代に新型コロナウイルス対策として配布した布マスク「アベノマスク」が大量に在庫になっている問題について、「希望する自治体や個人へ配布するなどの取り組みを進める」と述べた。会見前日の衆院予算委員会で野党議員が指摘したところによると、アベノマスクの在庫は8千万枚に上り、その保管料は年間9億円にも達するという。政府は2020年春以降、国内の全世帯や介護施設、障害者施設などに配布するため累計2億9千万枚にもなる布マスクを発注し、総額約500億円を投じている。

◆「与党は文通費の見直しをする気がない」(12月20日、日本維新の会の松井一郎代表)――記者会見で。国会議員に支給される文書通信交通滞在費(文通費)の見直しを与党が見送ったことについて「与党はもうやる気がないのだろう」と指摘した。文通費は電話代などの名目で国会議員に対し毎月100万円を支給する公費だ。税金が課されず実質的に議員歳費並みの実入りになるうえ、領収書の添付義務や使途の公開義務がないため、国会議員の「第二の給与」などと呼ばれている。日本維新の会は文通費をはじめとする議員特権について、「身を切る改革」と称してこれまでも見直しを訴えてきている。ただ、一方で15億円にものぼる政党交付金を受け取り、使いきれなかった分は国庫に返すべきところを基金として蓄える〝裏技〟を駆使していることには批判も上がっている。

気になるニュースのキーワード

地方交付税

 地方交付税は、すべての地方自治体が一定水準の行政サービスを維持できるよう、国税収入を各自治体に配分する制度だ。自前で十分な財源を確保できる都市と賄いきれない都市の間で生じる不均衡を調整するため、自治体の財政状況に応じて配分される額が決まる。東京都や鎌倉市など、地方税や地方債で一定水準の行政サービスを運営できる自治体には交付されない。総務省では「地方交付税」、財務省では「地方交付税交付金」と呼ばれている。
 国の税収である、①所得税・法人税の33.1%、②酒税の50%、③消費税の19.5%、④地方法人税の全額―が地方交付税に充てられる。なお、地方法人税は法人が事務所や事業所の所在する都道府県に納めるものであるが、地方税ではなく国税である。
 2022年度の予算案では、自治体に配る地方交付税の総額が18.1兆円と4年連続の増加となった。金子恭之総務相は予算案決定後の会見で「自治体の安定的な財政運営の確保のために最大限の対応ができた」と手ごたえを語ったが、金額の拡大は自治体の財政需要拡大に地方税収が追い付いていないことを示す。コロナ禍の影響により地方経済を支えていた訪日外国人による観光需要などが落ち込んだままだが、社会保障関連費をはじめ地方の支出は増え続けている。

押さえておきたいIT用語

IoT

 IoTとは、自動車や家電、機械部品などあらゆる〝モノ〟をインターネットに接続し、通信が行えるようにする技術を指す。現在はパソコンやスマートフォンなどの通信機器を中心に活用されているインターネットだが、ICタグやセンサーといったハードウェアの量産化・低価格化が進み、IoTの技術が発展すれば、様々な分野で応用できるようになる。Internet of Thingsの略語で、「モノのインターネット」と訳される。
 IoTが活用されている例としては、各国で開発が進んでいる自動車の自動運転技術がある。IoTを導入したセンサーを通じて自動車の走行状況や位置情報のデータなどを収集・分析し、その結果を自動車に送信することで適切な運転ができるようになるという仕組みだ。
 また身近な例としては、ユーザーの声を認識してエアコンやテレビ、照明などのオン・オフを切り替える米アマゾン社の「アレクサ」などが挙げられる。
 IoTの課題としては、インターネットへの接続中にサイバー攻撃を受けるリスクが挙げられる。セキュリティ対策が不十分だと、情報が流出したり、機能が停止したりする可能性があり、仮に自動運転の自動車がサイバー攻撃を受ければ人命に関わる事態にすら発展しかねない。また、IoTが搭載された〝モノ〟の利用状況や位置情報といった個人情報がサービス業者に筒抜けになるため、プライバシー保護の観点でも課題を抱えている。

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