毎月更新!時事コラム

第1721号(12月15号)
【税理士新聞より転載】

最近の税に関するコトバ集

◆「金融所得を課税強化すれば市場が傷つく」(11月25日、日本取引所グループの清田瞭CEO)――記者会見で。政府・与党内で株式の売却益などにかかる金融所得の課税強化が検討されていることについて「市場を預かる者として、あまり大きな傷がつかないよう慎重な議論をお願いしたい」と述べた。金融所得に対する増税は岸田文雄首相が9月の総裁選で格差是正策の一つとして訴えたが、好調だった日経平均株価が岸田氏の総裁就任後に2600円下落するなど市場の反発を受けて具体的な議論は来年に持ち越しとなっている。清田氏は課税強化が株価に影響をもたらすことが証明されたとして「マーケット参加者、特に海外の機関投資家も含めて警戒感は強い」と主張した。

◆「札幌五輪では市の税金を投入しない」(11月29日、札幌市の秋元克広市長)――記者会見で。2030年の招致を目指す札幌市の冬季五輪・パラリンピックでは「原則として市の税金を投入しない」と説明した。既存施設の活用や人件費削減などを通じて経費を圧縮し、運営費はIOCの負担金やスポンサー収入、国の補助金などで賄うという。19年の段階で3100億~3700億円と試算していた開催経費については最大で900億円削減できるとしたが、招致決定後に経費が膨らみ続けた東京五輪の前例がある。市は道民を対象に、開催の是非を問う意向調査を来年3月に実施するという。

◆「クーポン支給で経費がかさむのは当然」(11月30日、公明党の山口那津男代表)――記者会見で。18歳以下の子どもへの10万円相当の給付をめぐり、現金と別にクーポンを支給した場合にかかる追加の事務費用が900億円に上ると試算されたことについて「現金給付より経費がかさむのは当然でやむを得ない」との見解を示した。財務省が衆院予算委員会の理事懇談会で説明したところによると、10万円がすべて現金給付であれば事務費用は約300億円にとどまるという。クーポン配布は安倍政権が一律で現金10万円を支給した「特別定額給付金」で多くが貯蓄に回り経済活性化につながらなかったことを踏まえた措置とされるが、野党議員からは「貯金を防ぐのに多額の血税を費やす意味はあるのか」「委託を繰り返す中抜きに既視感がある」と批判の声が上がっている。

気になるニュースのキーワード

住宅ローン減税

 住宅ローン減税は、新築住宅を購入したり、住宅を増改築したりした人に対して所得税などを減税する制度だ。10年以上のローンを組んだ人を対象に、原則として、借入額のうち4000万円を上限に年末のローン残高の1%にあたる金額を10年間にわたって減税する。最大で40万円×10年=400万円に上る減税を受けることができる。
 減税額が住宅ローンの利払い額を上回ることで、差額が実質的に納税者の儲けとなる「逆ザヤ」が問題視され、22年度の税制改正では減税率を引き下げる方向で議論されている。マイナス金利政策などを背景に国内では超低金利の状態が続いており、住宅ローンの金利が現行制度の減税率である1%を下回るケースが多くなっているためだ。年末のローン残高が減税対象の上限である4000万円を超えていれば年間40万円が減税されるが、仮に住宅ローン金利が年0.5%であれば年間のローンの利払いは20万円となり、差額の20万円が納税者にとって事実上の儲けになる。
 会計検査院は2019年の報告書で「逆ざやが起きていることによって、必要のない人まで住宅ローンを借り入れている」と指摘し、是正を求めてきた。
 なお、税制改正で見直される住宅ローン減税は新たに家を購入する人などが対象となる。

押さえておきたいIT用語

HTTPSとHTTP

 HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)とHTTP(Hypertext Transfer Protocol)は、ウェブサイトの閲覧などインターネット上で情報をやりとりするための通信規格のことを指す。両者の違いは、通信が暗号化されているかどうかにある。
 通信が暗号化されているのがHTTPSだ。HTTPSを使うことでインターネット上の情報が暗号化されるため、悪意のある第三者から情報を盗みだされたり改ざんされたりするリスクが小さくなる。ネットバンキングやクレジットカードの決済サービスなど個人情報をやりとりするケースではもちろん、現行のウェブサイトでは基本的にHTTPSが導入されている。
 一方のHTTPは通信データを暗号化しないため、入力した情報が改ざんや盗聴の被害に遭うリスクが高まる。かつてはHTTPが主流だったため、いまだにHTTPSに変更されていないウェブサイトも存在する。こうしたウェブサイトでは第三者にデータが盗み取られたり改ざんされたりする危険性があるため、個人情報の入力などには特に注意が必要だ。
 ウェブサイトがどちらの通信規格か見極めるにはURLを確認する。URLが「https://」から始まっていればHTTPSが、「http://」からであればHTTPが使われている。なお、有名なウェブブラウザのひとつであるGoogle Chromeの場合、HTTPが使われているウェブサイトではページ上部のアドレスバーに「保護されていない通信」と表示される。

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